1. トップページ
  2. 産業潮流
  3. エアコン2027年問題、需要急増も人手不足・中東問題が冷や水に

産業潮流

エアコン2027年問題、需要急増も人手不足・中東問題が冷や水に

投稿日時
2026/06/11 16:25
更新日時
2026/06/11 16:28

「エアコン2027年問題」を前に、駆け込み需要が本格化している。(一社)日本冷凍空調工業会の統計によると、家庭用エアコンの4月の国内出荷台数は102万9454台と前年の79万4808台に比べ29・5%増えた。

家庭用エアコン 月別出荷台数・前年比 (2025年4月~2026年4月)

出荷金額も同34.1%増と大幅な伸びを記録している。昨年後半から需要が高まり、前年超えは8カ月連続。一部の家電量販店では前年比200%超となるケースも既に出てきており、現場からも「今年は動き出しが例年より早い」といった声が漏れる。

需要急増の背景にあるのが、2027年4月から施行される家庭用エアコンの新たな省エネ基準だ。省エネ・非化石転換法に基づく「トップランナー制度」により、年間消費電力量の効率を示す通年エネルギー消費効率(APF)の基準が大幅に引き上げられる。現行の10年度基準(6畳用でAPF5.8)に対し、27年度基準(同6.6)への移行が求められる。冷房能力4.0㌔ワットクラス(14畳程度対応)では現行比34.7%もの性能改善が必要となる機種もある。

省エネ性能の向上に伴いスタンダードモデルでも製造コストが上昇するため、価格転嫁は避けられず、本体価格が2~3万円程度上昇し最安値クラスでも10万円前後となる見込みである。これが需要急増の主因とみられている。

一方、資源エネルギー庁によると、新基準対応製品では光熱費削減効果が6畳用(2.2㌔ワット機)で年間約2760円、14畳用(4.0㌔ワット機)で年間約1万2600円が見込まれる。使用期間(約14年)の累計では、それぞれ約4万円、約18万円の削減につながる試算となっており、長期的にみれば価格上昇分を光熱費で回収できる計算だ。実際に「最安値モデルが主力として売れてはいるが、この問題をきっかけに関心を持たれた方が省エネ性能の高い上位機種へ切り替えるケースも増えている」(エアコンメーカー担当者)という。

高まる需要に冷水を浴びせることになりそうな課題もある。以前から問題となっていた工事業者の人材不足に加え、中東情勢の影響でナフサに由来する樹脂原料の調達が制限され、配管部材やパテなど設置部材の不足が懸念されている。今のところ大きな影響は出ていないものの、ナフサ関連はあらゆる業種で昨年並みという供給制約がある中で、旺盛な需要をメーカーや施工業者がどうカバーするかが鍵となりそうだ。

(日本物流新聞2026年6月10日号掲載)