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視触覚センサー付きロボハンド

FOOMAに出展する弁当盛付ロボットシステム。3月から弁当・惣菜の製造・販売を手掛けるヒライの食品工場で実稼働している

自動化システムで惣菜業界を省力化

 202110月に設立したFingerVision(東京都江東区)は、視触覚センサーを搭載したロボットハンドやロボットシステムの開発を手掛ける。22年のFOOMA・スタートアップゾーンに初出展した際は大きな人だかりを作った。3度目の今回展では初めて単独ブースを構える。出展内容や24年度の展望について同社の濃野友紀社長に聞いた。
 ??3度目のFOOMA2024では単独ブースを構えます。出展内容について教えてください。
 「『触覚ハンド』を搭載した、弁当盛付ロボットシステムと巻きずし盛付ロボットシステムを提案する。いずれも既に導入実績のあるシステムである。会場で実際の動きを拝見いただきたい」
 ??いずれのシステムにも貴社のコア技術・製品である視触覚センサー「FingerVision」が活用されていますね。
 「いずれのシステムでも活用されている。FingerVisionは電子基板であるカメラとシリコーン製の透明で柔らかい皮膚で構成され、皮膚上で起きている物理現象含めカメラで撮影された映像をもとに触覚(力や滑りの分布など)を再現している。柔らかいものや油ものでも物体の滑り量などから把持力を調整して掴むため、多様な食材に柔軟に対応できることが強み。汎用化しやすいロボットと組み合わせることで、ライン上に多品種かつ不定形のものが流れる惣菜盛付分野での実装を進めてきた」
 ??単独ブースということもあり、これまでとの違いはありますか。
 「現場で日常的に使われている製品として提案できるようになったことが一番の違い。これまでは触覚ハンドの技術的な真新しさに注目が集まっていたが、今回展では実稼働しているソリューションとして当社のロボットシステムを見ていただきたい。現在導入している企業ではシュウマイやがんも、巻きずしなどをピッキングしているが、前述の通り柔軟性が高いので、それ以外の食材でも本システムを導入いただけばラインの自動化を実現できる」
 ??ロボットを活用したシステムは処理能力が心配されます。
 「シュウマイで時間当たり900~1200個ほど。タクト3秒は番重に積まれているバラバラの食材や、コンベア上を流れる位置もまばらなトレーなどを都度認識し、多品種かつその日ごとに仕上がりが異なる具材を扱うロボットシステムとしては、現実的な能力と考えている。また、人とは異なり24時間安定的に稼働できることを考慮に入れると7~800個程度からミートするお客様が出てきている。コンパクトなロボットを選定し複数台配置のスペースがあれば2倍近い処理能力の提案も可能になる」
 ??22年度に製品化、23年度に実証・実稼働と着実に成長されてきました。24年度はどう展開していきますか。
 「01の段階は上手く乗り越えられたと思う。実際に実績も付いてきた。ここからは数社に使ってもらえるものから、世の中にインパクトを与えられるような規模感で使ってもらえる製品に仕上げていく必要がある。先に述べた通り今回は実績のある現実的な選択肢として提案していきたい。当然、拡販と量産にフェーズが切り替わるチャレンジはある。お客様の裾野を広げ、導入・活用を加速するためにも、当社以外のエンジニアも使いやすいシンプルなロボットシステム・ハンドに仕上げていく」

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(写真=FingerVision 代表取締役社長 濃野 友紀 氏)

2024525日号掲載)