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期待高まるレーザー加工

投稿日時
2024/11/28 18:00
更新日時
2024/11/28 18:00
塗料の乾燥用途などに使えるIPGフォトニクスジャパンのレーザー発振器「DLS/DLRシリーズ」(2kW)

自動化しやすく品質・速さ・環境面で利点
光・レーザー技術展「第24回Photonix」から

 EV向けバッテリー製造などに有効とレーザー加工に期待が寄せられている。非接触のため自動化しやすく、品質・速さ・環境の面でも利点がある。10月31日までの3日間、千葉市の幕張メッセで開かれた光・レーザー技術展「第24回Photonix」(RX Japan主催)で装置メーカーや受託加工企業がレーザー加工の利点をアピールした。
 IPGフォトニクスジャパンは塗料などの乾燥に向くレーザー発振器「DLS/DLRシリーズ」を紹介。レーザーは通常ビームを絞って使われるが、乾燥用途では逆に広げる。この発振器は銅電極にスラリーを塗る工程に使え、「製造工程が見直されているEVバッテリーや食品業界で需要が高まっている。従来の炉を使った乾燥と違い、空気を介さないので省エネにつながる」と言う。
 トルンプもバッテリーセル向けにレーザー発振器の需要が高まっていると言う。「セルの溶接工程はレーザーありきで進んでいる。レーザーなら高品質な密閉加工ができる」と溶接したワークを並べてアピールした。

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トルンプがバッテリーセルに施した熱歪の少ない高速溶接

 レーザー溶接ではファナックがロボットを使ったシステムを提案。システムの核となるのはガルバノスキャナーヘッド(同社は出力6㌔ワットまで対応)で、反射鏡を用いてレーザー光を任意の方向に振る。強みはCAMを用いてロボットを動かしながら溶接する「オンザフライ」を実行しやすいことだと言う。需要が高まる背景については「レーザーの価格が下がり、普及する下地ができてきた」と話す。安川電機は業界最大の出力20㌔ワットのガルバノスキャナーヘッドを紹介した。ロボット溶接の高速化を睨んだもので、すでに特定客向けに納入したという。
 金属部品の受託加工を担う二九精密機械工業(京都市南区)は切削加工に加え、8年ほど前からフェムト秒レーザー加工をウリに加えた。きっかけは「医療分野の仕事を受けるようになったから」。現在、同レーザー加工を使った仕事は医療、半導体分野がそれぞれ3割ずつを占め、シートへの多数の穴あけ、ガラス棒のカット、樹脂・金属複合材加工などを実施中。「材質を問わずに±5ミクロンくらいの加工精度に追い込めるのが特長で、仕事の増加から9月に2台目を導入した」と言う。



Photonix展レポートP3ファナック.jpg

ファナックのロボットアーム先端に付けたガルバノスキャナーヘッドはオンザフライを実行できる。

(2024年11月25日号掲載)