「5軸」精密加工機 披露
三井精機工業は3月11日までの3日間、埼玉県比企郡の本社工場で工作機械新製品などを紹介する工場見学会を開いた。感染防止対策のため各日とも午前、午後に分けた予約制とし、約140人が訪れた。同社の工作機械は航空機向けが4割前後と多いため、コロナ禍の影響をもろに受け、加藤欣一社長は「2020年受注は日工会の数字以上に落ち込んだ」と話す。だが、昨年5月あたりから回復しており、「米国航空機向け需要はかなり戻ってきた。国内向けはこれから回復する」と見通す。20±0・4℃に調温された工場には出荷を控えた5軸制御立形マシニングセンタ(MC)Vertexシリーズや大型トラニオンテーブルなどが並んでいた。
同社は今回、テーマとして「高精度の自動化」「重切削から仕上げまで」を掲げた。昨年発売した高精度5軸MC「PJ303X」(テーブル径180?_、主軸は毎分5万回転)は、20年以上前に発売したリニアモーター駆動の3軸制御のVL30(2万5000~5万回転の3タイプ)の後継機にあたる。「EVシフトに伴い変わる部品や高精度加工が求められる医療・航空機・金型向けに力を発揮する」とし、大阪で4月20日開幕のインターモールドにも出品すると言う。この延長線上にあるプレシジョンプロファイルセンタと呼ぶ3軸制御の「PJ812」(テーブル1200×800?_、3万回転)は一層の工程集約を図り、「精度はジグボーラーと変わらず、空間精度はむしろ上かもしれない」と自信を見せた。
カーボンニュートラルにも取り組む同社は、コンプレッサーを含めインバータを使った省エネ、油圧レス化を進めるほか、オーバーホールビジネスにも注力している。加藤社長は「鋳物の塊である工作機械を5、10年で更新するのは無駄が多い。自分の首を絞めるようだが、お客様のトータルコストが最小となるよう長持ちする機械づくりを目指す」と話す。
(2022年3月25日号掲載)