カケフ住建、スチールハウス工法用いたオフサイト建設を非住宅分野で推進
- 投稿日時
- 2026/06/11 09:32
- 更新日時
- 2026/06/11 10:18
独自の形鋼加工ラインで施工も組立も効率化
人手不足で現場施工を工場で代替するオフサイト化が注目されている。カケフ住建(岐阜県可児市)が提案するスチールハウス工法もその一手だ。薄板軽量形鋼で壁や床を工場でパネル化し、現場に運び込むこの工法が近年、非住宅分野の工期短縮にも活用され始めた。同社は独自の形鋼加工ラインで自在に形鋼に穴をあけることで、施工現場の負担を大きく減らしている。
スチールハウス工法はツーバイフォーの芯材を木材から薄板軽量形鋼に置き換え、工場でパネル化して現場で一気に組み上げる建築手法だ。元は阪神大震災の復興期に、高強度の建築物を簡単に建てられる工法として普及した。
建物の強度を保つためパネル同士のビス接合が重要だが、従来の部材は穴あけに手間がかかり、ビスの打ち忘れなど施工ミスの懸念があった。人手不足で現場の職人が頻繁に入れ替わる中、ニッチな同工法を都度現場に教育するにも限界がある。本来は効率的に高強度の建物を建てられる工法だが、品質の担保が課題だった。
図面を見て穴をあけるのが大変なら、事前にあければ良い。その発想で同社が2000年代に立ち上げたのがプレノッチ自動ロール成形ラインだ。独自のCAMで穴位置情報を図面データに紐づけ、コイル材をセットすれば薄板軽量形鋼の切断・穴あけ・成形を全て自動化する。形鋼を成形した後に金型で穴をあける従来手法と違い、平板の段階で穴をあけるため通常は困難な箇所にも自由に穴を設けられる。配線やビス用の穴を現場施工せずに済み、経験の浅い職人でもビスの打設箇所と本数が一目でわかるため、作業ミスや品質低下を抑えられる。
この柔軟な穴あけ技術は、工場で形鋼をパネル化する組立工程にも有効だ。穴が部材同士を組み合わせる目印になり、図面を見てけがく必要がなく直感的に組み立てられる。金山尚文営業部長は「ほぼプラモデルに近い」と表現する。さらに工場でパネルを組む順番で部材を成形・梱包し発送するため、現場で部材を探す手間もない。渡邉秀司社長は「工場での組立と現場施工、双方の手間が減り、品質も間違いなく向上する」と力を込める。
■1日で店舗出現
近年は需要が落ち着いていたスチールハウス工法への引き合いが、足元で再び増えつつある。他の工法を使っていた企業が、職人の手が最小限で済む同工法の可能性を模索しているためだ。とりわけコンビニエンスストアの店舗建設で活用が進んでいる。

コンビニ向け屋根ユニット。この工法では更地から1日足らずで店舗ができる
同工法を応用すれば、更地から1日足らずで店舗が出現する。軽量鉄骨の柱梁の上に工場で生産した屋根ユニット(断熱含む)を9つ載せることで、現場工期は従来比で約3分の1に短縮可能だ。コンビニのように出店スピードが売上に直結する業態は、工期短縮のメリットが特に大きい。無柱空間を持つ低層建築が可能で、銀行の支店やコインランドリーでも実績がある。渡邉社長は「特別な技術や経験がなくとも施工できる。小規模な門前倉庫にも転用が見込めるのではないか」とする。
人手不足で注目されるオフサイト生産。しかし渡邉社長は「人手不足は施工現場だけでなく、部材をつくる工場も同じ。海外人材が増える中、個人の技術に頼らず品質を保つ仕組みが欠かせない」と指摘する。単に現場作業を工場で肩代わりするだけでは、根本的な課題解決に至らないとの考えだ。
前述の形鋼加工ラインも「今後はより突き詰めたい」と意欲を覗かせる。施工現場と工場の双方を効率化し、オフサイト化の利点を高める方針だ。

薄板軽量形鋼を工場で組み立て、パネル化したもの
(日本物流新聞2026年6月10日号掲載)