井上、8年ぶりの自社展
- 投稿日時
- 2023/11/20 09:00
- 更新日時
- 2023/11/20 09:00
AI画像検査システムや予防予知保全提案
AI、IoTシステム開発や制御盤の設計・施工、電気設備資材の卸売などを手掛ける井上(京都府福知山市)は10月27日、製品展示会「INOUEワールド」を8年ぶりに開催した。会場は同社が運営する旧中六人部小学校(同市)をリノベーションした「THE 610 BASE(ムトベース)」となった。
AI画像検査システム「Deep i」、電気使用量の監視など環境課題にも対応できるIoTシステム「PinoT」、予防予知保全システム「yocchi000」などを展示したほか、企業向けのプログラミングスクールも開催した。
まず目を引いたのはサイコロを使ったデモンストレーションだ。AIを使って複数のサイコロの目を読み取るものだが、振動機を使って激しく振動・回転する中でも正確に判定していた。「動き続けるものを、動画を使って判定することに対して特許をとっている」(担当者)と話す。同技術を使った「Deep i」の導入例としてはせんべいの割れや焼け具合などを判定してNG商品を排除するシステムがある。「せんべいのNGのパターンは無限にあり、それを学習することでパートさんが担っていた仕事を省人化できた。人間なら20分で集中力が切れる」(同)とする。自動車関連では、バンパーを留めるプラスティックのリベット状の部品が正確に設置されているかの検査にも用いられているという。「リベットが抜けかけているか、などベテラン職人の目でしか判断できないものもある。AIで学習させれば、熟練を要するとしても人間の目で判断できる『特徴量』があれば判断は可能になる」(同)と自信を見せる。ほかにも同技術を応用して、ゴルフ練習場のハウスボールトと持ち込みボールを識別する機械も開発している。
■匠の技術を段階的に自動化へ
「yocchi000」は生産現場でIoTによるリモート監視・制御を行うシステムだ。「木材の製材所で燻煙乾燥という珍しいやり方をしているところがあった。山奥の作業場まで行って空気弁を開閉し温度調節をしなければいけなかった。yocchi000を用いて温度や煙の状況を確認するようにした。温度などのデータを蓄積していけば、次の段階として煙突に制御弁を設置し遠隔で温度の調節が可能になる。さらに炉内の温度を均一化するためファンを付けてそれも遠隔操作していきたい。いわゆる匠の技に対して、スモールスタートでソリューションを提案し、データ化して最終的に自動化まで持っていくのを当社は得意としている」(別の担当者)とした。
(2023年11月10日号掲載)