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パナソニックSN開発研究所、画像センシング使いロボ分野に参入

飛世大介部長(右)と道本泰之部長補佐

 受託開発を担うパナソニックシステムネットワークス開発研究所(宮城県仙台市、パナソニックホールディングスが100%出資)が無線、画像センシングなどのコア技術を生かし、ロボット分野へ進出しようとしている。(一社)日本ロボットシステムインテグレータ協会に近年、協力会員として加入しアピールを強化している。
 同社は500人超の従業員の9割が技術者という技術専門会社。パナソニックグループの研究開発を担ってきたが、「10年ほど前からはパナソニックグループ以外のお客様から依頼される仕事も増えてきた。当社の技術で様々なお客様のお困りごとや課題を解決し、社会貢献していきたい」(AIソリューション部の飛世大介部長)と意気込む。コア技術のひとつである画像センシングの領域では、画像認識や3次元センシング方式開発を使ったビジュアル・フィードバックを得意とし、ロボットに関連する実績としては、カメラでワークを追従し柔軟にアームを制御するソフトや、LiDARLight Detection And Ranging=光を利用した距離・形状計測)、SLAMSimultaneous Localization and Mapping=自己位置推定とマッピングの同時実行)を搭載したAMR向け停止位置精度改善ソフトなどを開発してきた。
 そんな同社でも3次元でのセンシングは難しいという。どう克服するのか。同社はTOFカメラを3台以上使って死角をなくし、撮影した点群データをリアルタイムで合成して任意の視点から被写体を見ることを可能にした。これを応用して「人物の周辺に仮想的に設定した円柱をバーチャルフェンスと見立てて、円柱の外に身体の一部が出ると注意喚起(警報出力)することもできる」(AIソリューション部の道本泰之部長補佐)と言う。こうした成果は展示会などで披露し、顧客とさらにブラッシュアップして実用化を狙う。
 また、ロボット関連で課題としてあげるのは、照明など周辺環境が変化してもミリ単位でアームを制御することで、これが実現すれば「針金状の細いワークを掴みに行ったりEVの充電口にノズルを一発で差し込んだりできる」と道本氏は考える。「得意とするAIを使えば高精度制御を実現できる可能性は高い」と自信を覗かせる。

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(写真=バーチャルフェンス)

2024515日号掲載)