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日東工器が福島に新工場、外観デザインは隈研吾氏監修

投稿日時
2025/07/14 09:00
更新日時
2025/07/14 09:00

日東工器(株)

曲面屋根が特長的な外観デザイン(撮影協力:マツイコーポレーション)

最新鋭加工機20台超導入

日東工器は71日、約146億円を投じて福島市大笹生に建設していた新工場「おおざそう工場」(東北日東工器が運営、鉄骨2階建、延床面積19954平方㍍)の竣工式を行った。機械工具を製造してきたメドテック工場(山形市)と電動ドライバーと建築機器を製造してきた白河工場(福島県白河市)の2工場を集約。仕入れから部品加工、組立までの一貫生産体制を整える。

日東工器02・2工場集約し福島に新工場P1.jpg

竣工式でのテープカットのようす

従業員202人が働くおおざそう工場は福島駅から車で約20分、東北中央自動車道の福島大笹生IC近くに立地。曲面屋根が特長的な外観デザインは建築家の隈研吾氏が監修した。複合加工機や5軸マシニングセンタなどの加工機100台弱(約3割は新規導入)のほか自動倉庫や無人搬送車を保有する。BCPの観点から将来的には迅速流体継手、リニア駆動ポンプなど日東工器の全製品を生産できるマルチ工場を目指す。

新工場には旧2工場の加工機のほか、複合加工機や5軸マシニングセンタ(MC)などの最新鋭機を20台超導入した。運営する東北日東工器の千葉隆志社長は「3台のMCと治具棚を組み合わせてランダムに配送できるFMS(フレキシブル生産システム)や9工程を1台で担える複合加工機を保有する。材料は自動倉庫からAGVを使って現場に搬送する」と生産の省力化と効率化を進めたことを強調する。多くの加工機は上部に配管をつなぎ、局所排気することでクリーンな環境を保つ。「福島県は水素、ロボット、医療分野に注力しており、これらの分野で地域企業との連携を深めることで地域の活性化につなげたい」とも話した。

日東工器グループはこれまで製品カテゴリー別に生産拠点を設けてきたが、国内は2拠点に集約する。栃木工場(栃木県さくら市)は流体継手「カプラ」の製造を担い、おおざそう工場は、これまでメドテック工場(山形市)と白河工場(福島県白河市)が担ってきた機械工具、電動ドライバー、ヒンジなど多品種小ロットの製品をつくる。今後はBCPの観点からおおざそう工場でカプラをつくることなども視野に入れ、千葉社長は「これまで以上に工場間での交流を図っていく」と言う。

日東工器の小形明誠社長は「来年の創業70周年を前に、かねてから当社が目指す社会への貢献と従業員の幸福につなげることができる。ありがたいことに年内に1千人を超える見学希望者いる」と言う。曲面屋根が特長的な外観デザインを監修した建築家の隈研吾氏は「大学時代の友人の小形君から50年ぶりに突然、依頼があった。大笹生の山が360度広がる自然の中に、福島県産の杉を使って世界に自慢できる工場ができた」と胸を張る。

日東工器02・2工場集約し福島に新工場P2.jpg

スタッカークレーン(右)をつないだFMS(中央)



(日本物流新聞2025710日号掲載)