中型クラスで業界最大の処理能力
オリオン機械はこのほど、冷凍式エアドライヤーの新モデル「オリオンヘルツフリードライヤー」4機種を一挙に発表した。縦長のスリムボディが特徴的な同製品について、産機営業本部 機器営業部の柴本暢行部長は「既成概念を取り払いつつ、ユーザーニーズを極力取り込んだまさにマーケットインの商品」と力を込める。その特長と従来機種から進化したポイントについて、詳しく話を聞いた。
コンプレッサで生成した圧縮空気中の水分を取り除く冷凍式エアドライヤー。中でもオリオン機械が重点市場に位置付けるのは出力22~75kWの中型クラスだが、市場では近年、ある変化が起きていたと産機営業本部 機器営業部の柴本暢行部長は話す。
「国内外の主要エアコンプレッサはここ10年、性能向上により吐出風量が著しく増加している。しかしこれまで我々も含めてエアドライヤー側ではその風量アップに追随できておらず、機種選定時にコンプレッサより1ランク上のエアドライヤーを選定せざるを得ないという『逆転現象』が生じていた」(柴本部長)
こうした状況を打開すべく、オリオン機械が開発したのが冷凍式エアドライヤーの新モデル「オリオンヘルツフリードライヤー」だ。展開するのは6月1日発売の「RAX500A-SE22」「RAX800A-SE37」と、8月1日発売の「RAX1200A-SE55」「RAX1530A-SE75」の4機種。いずれも搭載したインバータによって電源周波数に左右されることなく一定の性能が発揮可能で、現行モデル(RAX-Jシリーズ)から処理空気量を11~23%向上(60Hz時)させた同社の自信作だ。
開発にあたっては、国内外の主要メーカーが展開する各エアコンプレッサの性能を参照。「開発時点(2022年3月)で最も吐出風量の多いエアコンプレッサに合わせ、業界最大の処理能力を実現した」という。これにより、業界の課題だったコンプレッサとの性能差を解消。単純にコンプレッサの出力に応じたエアドライヤーを選ぶだけで、ミスなく機種を選定できる。
さらに本体を縦長のスリムな形にすることで、設置床面積を従来機種と比べ平均27%削減。放熱用の空気を前面から吸い込んで上方と背面から吹き出す仕様としたことで、側面を壁に付けた状態で設置できるようにした。「近年はエアドライヤー内蔵式のコンプレッサも増えているが、エアドライヤーだけが故障するケースも多く、そうすると狭い場所にエアドライヤーを後付けする必要がある。その点、新モデルはそうしたスペース上の制約を抱える現場にも無理なく導入いただける」(柴本部長)
近ごろ顕著になってきた夏場の気温上昇。そうした過酷な現場でも稼働を止めないタフさも、オリオンヘルツフリードライヤーの持ち味だ。周囲温度50℃まで稼働が可能で、運転状況をランプの色で視認できるLED表示機能も搭載。設備の停止リスクを軽減している。
柴本部長は「我々としても、中型クラスのエアドライヤーで約10年ぶりとなる新製品。この10年間でエアコンプレッサの吐出風量の増加や夏場の気温上昇など、ユーザーの環境は大きく変わった。環境負荷の低減も強く求められるようになったが、新モデルではGWPの低い冷媒『R32』を採用している。性能面でも環境負荷でも、この10年間の変化に追随できる製品だと自負している」と力を込めた。
(2022年6月25日号掲載)