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サイエナジー、噛み込み検査の自動化をX線で

組み込み型検査装置の活用イメージ

低コスト・省スペースな組込型需要増

 食品への異物混入ニュースは後を絶たず、食の安全・品質に対する人々の関心は高まっている。一方で、食品加工現場の人手不足は深刻であり、検査工程の自動化が急務だ。出力を抑えたX線を用いた検査装置を手掛けるサイエナジー(神奈川県相模原市)にも強い引き合いが来ている。
 2005年、宇宙向けの放射線検出システムの技術開発を目指し創業したサイエナジーは、宇宙・工業分野で磨いた高感度な放射線検出技術を応用し、食品・医薬品向けの軟X線検査装置を手掛ける。
 一般的に用いられるX線検査装置は高出力のX線を対象物に照射するため、金属製の内部が見えにくい包材の異物検査に向く。一方で、包材部分はX線が透過してしまうため、シール部(接着部)などの薄い箇所の検査には使用できないケースが多い。
 サイエナジーの軟X線検査装置はエネルギーが低く透過力の弱いX線を照射できる装置。そのため、シール部の噛み込みやダーツ(タックシワ)などを検査することができる。同社・営業部の元田理彩氏は「不織布などの薄物の噛み込みも検知できるため、ドリップコーヒーやティーバックの包装検査向けで多く採用されている。他にも粉末や割れ欠けが出やすい乾き菓子関連でも採用が増えてきた」と話す。
 近年需要が増えているのが、箱詰め・パレタイジングなどの後工程の自動化に伴った検査工程の自動化ニーズだ。
 「従来であれば品物を箱に詰め込む際に、作業者が目視検査を行うのが一般的だった。人手不足の影響から箱詰め工程の自動化ニーズが増えており、それと共に検査工程も自動化したいというお声を多くいただいている」(元田氏、以下同)
 同社の検査装置には、据え置き型以外に包装機への組み込み型のX線検査システムもあるのが特長。スポット的な検査に向く「SPOT型」とより広い範囲を検査できる「LINE型」を用意し、据え置き型装置よりも価格を抑えられることも相まって好評だという。
 「組み込み型のX線検査装置を手掛けるのは当社だけ。省スペース化や検査対象を姿勢の良い状態で検査できるといったメリットもあり、食品業界だけでなく化成品向けの充填装置に採用されている。装置メーカーから指名いただくことも増えてきた」
 FOOMAでは各種検査装置に加えて、未溶着の検査も行える新製品を出展する。これまでの5つの検査項目(噛み込み、ダーツ、2枚取り、斜めシール、シール幅不良)に加えることで、要望のあるほぼ全てのシール不良項目を検査できるようになる。
 「大手食品メーカーでは認知・実績が付いてきた。FOOMAでは同じく人手不足が深刻な中小メーカーにも認知を広げていきたい」

サイエナジー_写真1.jpg

(写真=組み込み型検査装置の活用イメージ)

2024525日号掲載)