TOKYO PACK 2026レポート
- 投稿日時
- 2026/11/05 09:00
- 更新日時
- 2026/11/05 09:05
物流費や原材料費の高騰、人手不足など複合的なリスクが重なる中、紙製包装の価値を改めて見直す機運が高まっている。単なる「保護資材」の枠を越え、適正サイズ化による積載効率の向上や作業省力化、プラスチック包材からの置き換えなどを同時に叶える機能性パッケージとしての期待は高い。そんな、紙製包装の可能性に改めて注目が集まったのが、10月16日まで開催された「TOKYO PACK 2026」だ。
東京ビッグサイトで3日間にわたり開催された同展には、延べ18万人を超える来場者が詰めかけた。数ある展示の中で目立ったのは、段ボールやクラフト紙袋などの紙製包装資材と、それらを扱う梱包機械の展示だ。背景にあるのは、積載効率の向上による物流費抑制や、脱プラ対応、作業負荷軽減といった切実な現場課題である。
適切な紙製包装の組み合わせによる物流の効率化をわかりやすく表現したのが王子ホールディングスだ。「物流×OJI」をテーマに専用コーナーを設け、定型箱と緩衝材を使った従来の梱包(ビフォー)と、中身のサイズに合わせて最適化した箱や袋による梱包(アフター)を並べて提示。一部製品の袋化などにより集積性を高め、容積を約30%削減できることをひと目で伝えた。
さらに、中身のサイズに応じて機械が自動で箱・袋のサイズを調整する自動包装機をはじめ、ミシン目入りでカッターを使わずに高さを手で調整できる段ボール製品、プラ製気泡緩衝材からの置き換えを図る紙製緩衝材など、現場の安全・作業省力化と脱プラを両立する多様なソリューションを提案した。
昭和パックスも、角型の荷姿を保てる袋体「バックス(BAX)」や底部の片面を貼り合わせた袋体「片面貼袋」などで物流効率化を訴求した。両製品は厚手のクラフト紙を使用した集合包装用の袋体で、バックスは充填すると安定した立方体形状になり、片面貼袋は底面が平らになるため荷崩れやパレットからのはみ出しを防ぎ、安定した積み付けを可能にする。

昭和パックスの角型の荷姿を保てる袋体「バックス(BAX)」
いずれも段ボール箱に比べて資材管理コストや重量を抑えられ、デッドスペースを減らしてトラックや倉庫での積載・保管効率を大幅に高めることができる。「砂糖や米などの輸送に活用されてきたが、近年EC関連での問い合わせも増えている」(同社担当者)ことを受けて、ブースの正面に配置し注力提案した。
■リスク対応・社会課題解消に
容積や荷姿の工夫による効率化にとどまらず、頻発化する水害や物流現場の人手不足など、社会課題に対応した提案も多く見られた。
最大90㍉もの厚みを持つ高強度段ボールなど、高機能段ボールを数多く手掛ける日本セキソーは、水に濡れても強度を保てる「耐水セキソー」の機能をアピール。クジラのオブジェを水に浸し、水にふやけない耐水性能を視覚的にアピールした。「浸してから1日経っているが色が変わっている部分も1㌢程度。一般的な段ボールでは1時間程度経つと全体が水を含んでふにゃふにゃになってしまう」(同社担当者)。頻発化する水害から荷物を守るソリューションとして、耳を傾ける来場者が見られた。

日本セキソーの「耐水セキソー」
「Creating the Future through Packaging」をテーマに出展したレンゴーも、物流現場の人手不足や作業負担といった課題に対し、導入のハードルを大幅に下げた新開発の包装機械群を訴求した。
初披露となった3種類のコンパクトな包装機械は、いずれも100V電源・エアレスで稼働するのが特徴で、既存の物流センターや限られたスペースでも手軽に導入できる。中でも来場者の関心を集めたのが、紙製緩衝材を袋状に加工するクッションバッグ製造機「CB Maker」だ。ロール状のスリット入りクラフト紙を繰り出し、2つ折りにした両端をギアの噛み合わせと少量の水ミストだけでエンボス圧着(シーリング)する。熱や接着剤を使わず100V電源だけで動くため、特別な電気工事も不要。通販などの梱包現場で、靴や化粧品といった複数の小物をサッとまとめて梱包できる。「平紙での包装作業は結構ノウハウがいる。袋形状にすることで直感的に商品を入れられる」(同社担当者)。

レンゴーが披露したクッションバッグ製造機「CB Maker」で加工した紙製緩衝材を使用したイメージ
他にも、みかん箱タイプの段ボール箱を自動組み立てする製函機「AirLess100」や、荷札発行から袋への充填・自動封かんまでをこなす「Rapid Packer」も実演で披露。AirLess100は、吸着パッドやエアを使わない省電力・静音・コンパクト設計の製函機。キャスター付きでアンカー固定も不要なため、繁忙期に応じたライン移動やレイアウト変更にも柔軟に対応できる。「初期投資や設置スペースの制約で自動化に踏み切れなかった現場」に寄り添う、機動性の高い省力化策として多くの来場者の関心を集めた。

レンゴーの自動製函機「AirLess100」
■手軽な積付け・組立システム
変種変量生産と人手不足対策の必要性が中小製造業で高まっていることを受け、設備メーカー各社は導入しやすい自動化システムをアピールしている。Closerは小型協働パレタイズロボット「Palletizy(パレタイジー)」に新機能を追加したことを紹介。あらかじめ多段積みすることでパレットの交換回数を減らせる機能「多段パレット」(オプション)で、ロボットの両側あわせて最大10段のパレットを積める。既存システムに約200万円で後付けできるという。

あらかじめパレットを段済みして作業できるCloserの「多段パレット」
納入実績を重ねるスターテクノの「段ボール箱自動組立システム」は性能アップしている。サイクルタイムは1ケース当たり30秒が標準仕様だが、「10秒仕様機も納めた。世の中にたくさんある専用機はサイクルタイムがもっと短いが、対応できる段ボールが限られる」と話す。同社のシステムは長さ200~550×幅140~400×高さ65~350㍉の段ボールであれば組立可能で、「3台を使って1000種のケースを組み立てるシステムを納めたこともある」と言う。

サイズ・形の異なるケースを扱えるスターテクノの「段ボール箱自動組立システム」
A&Cサービスはパレタイズグルー(接着剤)塗布装置「グルーマスター」のエントリーモデルを同展出展を機に発売。コンベヤ上の箱や袋体が通過する時に塗布し、積み重ねる際に塗布面を簡易接着する。ストレッチフィルムなしで荷崩れを防ぎ、本体価格はおよそ100万円。手持ちのコンベヤや直交ロボットなどと組み合わせてシステム化できる。

A&Cサービスの「グルーマスター」エントリーモデル
(日本物流新聞2026年10月25日号掲載)