2種のヘッド採用、音を抑えたい現場の救世主
近年、多種多様な近隣トラブルを耳にする機会が増えた。建築現場から出る音に対しても気を配ることが求められるようだ。そうした仮設工事現場など向けに開発されたのが、オーエッチ工業(東大阪市水走4-9-3、TEL.072-963-2221)の「仮設コンビハンマー」である。
「鋼鉄」と「ナイロン」の2種類からなるコンビヘッドを採用しているため、強く叩きたいときは「鋼鉄」、音を気にするときは「ナイロン」と、作業現場に合わせて使用するヘッドを選択できる。
同社が行った実験によると、ナイロンヘッドで単管を叩いた場合、鋼鉄ヘッドよりも音圧レベルが最大12dB小さくなり、全体としても10dB 程小さくなる。ナイロンヘッドだと高音も抑えることができるため、不快感を与えにくい。
現場の声を聞きながら開発を進めてきたため、静音性だけではなく、製品細部の取り回しの良さへのこだわりも感じられる。足場のような狭い場所でも扱いやすいように、一般的なものに比べヘッド全長が短く、コンパクトなものとなっている。消耗品であるナイロンヘッドの取替え時期や方法もわかりやすく、ヘッドの交換に戸惑うこともない。また、柄尻には落下防止コードをかけるためのステンレス製リングがついており、高所での安全対策も万全だ。
そうしたコンパクトな見た目に対して、耐久性を心配する必要はない。負荷のかかるヘッドと柄の接合部に、衝撃を受け止めるシャフトを圧入したことで、柄折れを防ぐ。また、柄には熱処理を施したクロモリ鋼を採用しており、硬さと粘りを両立させ、折れにくくした。
通常であれば、製品発売後普及するまで3年ほどかかるという。それほど道具への信頼感を獲得するのは難しいということだろう。しかし、本製品は21年10月の発売からこれまで、何度も欠品となるほど売れ行きは好調とのこと。現場目線での開発が即戦力として認められたからだろう。
記者が持ったときには重く感じたハンマーも足場職人には少し軽いようで、より重たい1・5ポンドのものも今後ラインナップ予定。
(2022年2月25日号掲載)