
デジタルツールで切削営業のプロ育てる
サンドビック(コロマントカンパニー)は4月の第三週に工具の販売組織の総会をオンラインで行い、成長戦略や注力製品を明かした。
髙宮真一カンパニープレジデントはグローバルの景況に言及。「米国は一服感があったが航空防衛宇宙が非常に高いレベルで好況を維持。欧州はドイツを中心とした自動車の低迷が足を引っ張り厳しい状況。ただ少しずつ回復基調に。北アジアは回復スピードが遅い。南・東アジアはインドが絶好調。日本は航空・防衛・造船、エネルギーが堅調だったが、自動車、一般産業は厳しい状況だった」と振り返った。M&A関連企業は「工具は大幅に伸びたが、ソフトは欧州の景況の影響で期待通りの成長には届いていない」とも付言した。
今後はEVや航空宇宙を強化し、旋削、フライス、ソリッド工具の新製品を投入して超硬工具メーカーとして成長を目指す。注力分野は積極的なM&Aを行う方針だ。
流通部長の田中悟史氏は2027年までの三カ年の営業戦略を語った。「CAMを使える人材をさらに増やし、従来の刃先からツーリングまでのトータルソリューション提案に最適な加工プログラムを加えた付加価値の高い提案を強化する。体系的なトレーニングコースなどサンドビックにしかできない顧客サービスを提供する」
トレーニングコースはレベル・目的に応じ体系的に切削工具の知識を深めるもので、オンデマンド方式で無償で受講可能。昨年には最適な工具・加工条件・寿命を短時間で算出できるデジタルツールなどの習熟を狙いとした「DXスペシャリストコース」を新設した。様々なアプリを実践的に使いコロマントセンターとの中継で選定した工具や条件での実削体験を行うことで、「デジタルを活用した切削営業のプロ化を目指す今までにないコース」と言う。知識や経験が浅い人も同社の営業と「同レベルの対応が可能になる」とする。
注力製品は鋼・SUS・鋳物など広い被削材に対応したオールラウンド型ドリル「CoroDrill Dura462」など。同製品は工具径0.03㍉から20㍉まで種類が多く、従来品の2倍以上の寿命を実現できるが価格は従来品より約20%低く設定した。田中部長は「国内競合メーカーと同等もしくはそれ以下の価格にもかかわらず非常に高い能力」と力を込めた。
(日本物流新聞2025年4月25日号掲載)