おおた研究・開発フェア
- 投稿日時
- 2024/10/29 13:03
- 更新日時
- 2024/10/29 13:12
高性能のモーター、減速機、ギヤ
東京・大田区に拠点を構える企業を中心とした産学連携・新技術展「おおた研究・開発フェア」が賑わいを見せている。東京ビッグサイトなどで開催される産業見本市に比べると規模は大きくないが、「実際の商売につながる商談ができるので毎回出展している」「今回もビジネスパートナーが数社見つかった」と出展者からの反応もいい。近年は羽田空港から1駅のイベントスペース、コングレススクエア羽田およびPiO PARK(大田区羽田空港、2021年10月開設)に会場を移し、10月10・11日に開かれた第14回展は93社・団体が出展した。
尖った技術が見られるのも同展の特長の1つだ。7年前に設立したベンチャー企業、Piezo Sonic(東京都世田谷区)は超音波モーターをコア技術とする。「コイルや磁石、鉄芯が不要なこのモーターは薄くできる利点があり、世界で5社ほどしか製造していない」と言う。協働ロボットや医療機器などに向き、停止時に電力消費せず、電源が断たれてもその位置から動かない。このモーターを使ったAMR(自律走行搬送ロボット)「Mighty-D4シリーズ」(今年1月発売の第4世代、50㌔可搬)は12㍉の段差を乗り越え、直径21㍉の車輪が水没しても問題なく走行する。価格ははおよそ800万~1千万円で、21年発売の初代から7台ほど売れた。
福島大学発ベンチャーのミューラボは小型の精密減速機「CROWN ROBOXGEAR」を主品。「ロボットや自動窓の用途では小型が求められている。直径13~50㍉の製品を揃えるが、試作では8㍉まで小型化した」と言う。寸法は小さいがトルクは同サイズの他社品のおよそ2倍あり、耐衝撃力(外径角寸法30㍉タイプで瞬時最大トルク45Nm)、高負荷耐性(同定格トルク3Nm)をもつ。大手住設のLIXILの自動窓への採用実績もあるという。
ミューラボの精密減速機。左端は直径8㍉の試作品
「ちょっと手にとってみて。説明するより早いから」と声をかけるのは丸隆工業。記者が手にした直径1㌢ほどのギア2つは拍子抜けするほど軽かった。ポリイミドに炭素繊維を混ぜて焼き固めたもの。「まだ作ったばかりだが、金属ギヤに替わる。おそらく300℃に耐え、JIS5級の精度等級をもつ」と自負する。いずれも大田区に拠点をもつ磯上歯車工業、表面機能デザイン研究所と共同で開発した。製法が射出成形法でないため炭素繊維を長い状態のまま混ぜることができ、高い強度を保つ。価格がネックで「このギヤ1個つくるのに数万円かかる」と漏らした。
丸隆工業などが開発した軽量ギア
(日本物流新聞2024年10月25日号掲載)