物流とマテハン4団体が新年賀詞交歓会
- 投稿日時
- 2024/02/21 18:00
- 更新日時
- 2024/02/21 18:00
インフラとしての物流を支える1年に
「物流の2024年問題」によって注目を集めている物流・マテハン機器業界。1月末に主要4団体が都内で新年賀詞交歓会を開催した。能登半島地震の影響もあり、インフラとして物流の重要性を再認識する声が多く聞かれた。
日本ロジスティクスシステム協会
サプライチェーン全体で取り組み加速
26日に開催した(公財)日本ロジスティクスシステム協会は能登半島での地震発生を踏まえ、新年賀詞交歓会を新春の集いと改めて開催。
冒頭の挨拶に登壇した大橋徹二会長(小松製作所会長)は、「4月より時間外労働の上限規制がいよいよ物流分野にも適用される。当協会はこれまでにも持続可能なロジスティクスを目指して様々な取り組みを行ってきた。政府が掲げる政策に沿って対応を着実に実施していく」とし、「サプライチェーンに関わる全てのプレイヤーが協力して商慣行を見直し、物流を効率化し、行動変容を進めることが重要」と考えを述べた。
来賓の経済産業省商務・サービスグループ商務・サービス政策統括調整官の山陰雅良氏はまず「政府が能登半島へのプッシュ型支援を行う際、本日お集まりの方々には多大なご協力をいただいた」と感謝を述べた。「物流の2024年問題」について、「経済産業省としてはこの問題への対応だけではなく、脱炭素、DX、人的資本経営、さらにはリスキリングといった労働市場改革と組み合わせながら、あらゆる手法を活用して意識改革を図っていきたい」とし、人の能力を引き出すための積極的な設備投資への支援を行っていく考えを示した。
日本物流システム機器協会
止まらない物流基盤の底支えを
(写真=下代博会長)
24日に行った(一社)日本物流システム機器協会の下代博会長(ダイフク社長)は「物流の2024年問題」に触れ、「これまでにも物流業務の省力化、自動化のニーズの高まりによって発展を続けてきた当業界に、さらにインパクトをもたらすのがこの課題」と期待を述べた。「物流業務の効率化・生産性の向上だけでなく、トラックの荷待ち時間の解消や新設される中継拠点へのソリューション提案などに力を注ぐ必要がある」との考えを示す一方で、「会員企業の多くが荷主としての立場もある。24年問題の当事者として取り組んでいただきたい」と話した。
恒例の左手を腰に当てて行う右肩上がり乾杯は能登半島地震などがあったことを受け取りやめ、大庫良一副会長(オークラ輸送機社長)は「国土強靭化のプラットフォームである物流を底支えするのが当協会の会員各社」とし、「止まらない物流基盤を作っていく当協会の大きな責任を達成するためにも、心を合わせて頑張ろう」と発声した。
日本運搬車両機器協会
時間への寛容さが事故・不正を防ぐ
(写真=吉田晴一会長)
25日に開いた(一社)日本運搬車両機器協会の吉田晴一会長(ハンマーキャスター代表取締役)は、はじめに阪神淡路大震災で被災した経験を振り返り、「避難生活の様子は30年近く経っても大きくは変わっていない。現地の人たちは自分の身を守るので精一杯になってしまうので、外からの支援の輪を広げたい」と話した。
物流の2024年問題については、自動車関連企業の不正問題にふれ「納期に囚われ過ぎているのではないか」とし、「いまだに960時間以上の残業をしている運送事業者が3割ぐらいあると言われている。対策が十分でない中で4月を迎えるにあたり、重大事故や不正を起こさないためにも、皆が少しずつ寛容になる必要があるのではないか」と考えを示した。
乾杯の音頭を取った花岡徹副会長(花岡車輌社長)は「我々が知恵を絞って作った製品は必ず役に立つ。いよいよ当業界の出番の年」と力強く話した。
日本マテリアルフロー研究センター
高度物流人材育成へ新講座開設
(写真=松川弘明会長)
12日、(一社)日本マテリアルフロー研究センターは都内で賀詞交歓会を開催した。就任2年目の松川弘明会長(慶応義塾大学理工学部教授)は「1年を過ぎて業界のことや自分の役割についてわかってきたような気がする」と述べ、今年の抱負を「会員サービスの強化」と「アジア物流ネットワーク構築へ前進していくこと」とした。
会員サービスの強化は、国土交通省が進めている高度物流人材育成に倣う形で、4月から育成プログラムを立ち上げる。デジタル化データサイエンスコース、サプライチェーンサイエンスコース、先端物流技術コースの三つを用意し、デジタル化データサイエンスコースの上級から順次開講する予定。量子コンピューティングなど最新技術に対する研修も盛り込む予定で、松川会長は「いずれ我々の産業界を引っ張っていく人材を育成するのに非常に重要な研修事業になるのではないか」とし、「皆さんも期待して待っていてほしい」と述べた。
(2024年2月10日号掲載)