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エクセディがスマートロボット市場に本格参入

投稿日時
2024/11/01 18:00
更新日時
2024/11/01 17:00
スマートロボットプロジェクト スマートロボットチームの中野さんとマルチロボット(ホテル・レストラン・ショー & FOODEX JAPAN in 関西 2024会場で)

1台X役のマルチロボ披露

919日、インテックス大阪で行われた「ホテル・レストラン・ショー  FOODEX JAPAN in 関西 2024」に、自動車部品製造業大手・エクセディの姿があった。トルクコンバータを出品したわけではもちろんなく、披露したのは新たなスマートロボットシリーズ「Neibo(ネイボ)」だ。

「運搬・案内・巡回・広告の表示など1台で何役もこなすマルチロボットを、ノーコードで簡単に稼働させられる」とスマートロボットプロジェクト システムサポート担当の中野さんは言う。展示会場での取材で同製品の特長を探った。


――貴社の製品では見慣れない、サービス系のロボットを展示されていますね。

中野「新事業の一環で9月に販売を開始しました。実はこのほどスマートロボット全般のブランド名も『Neibo(ネイボ)に決まったところです。機種は随時追加しますが、今のところはこのブランド内に120kgの積載と600kgのけん引が可能な『パワフルロボット』と、モニターを標準搭載し運搬以外に様々な役割が持てる『マルチロボット』がある。今回の展示会では主にマルチロボットを紹介しています」

――マルチロボットは多機能とのことですが、例えば何ができますか。

中野「まずは下の駆動部と上部構造を分離でき、様々なカスタムもできるので幅広い物を運べます。チャットボットとの連携で案内にも使えますし、モニターを用いた『動く広告』としての使い道も。デジタルサイネージは一般的に定点ですが、マルチロボットならそこに動きを加えられます。API通信を採用しているため他社システムとの連携も非常に容易で、例えば画像認識のアプリケーションと連携させれば、属性認識技術で性別や年齢を判別し、ターゲット層に適した広告を移動しながら表示できるのではないかと。世の中のサービスロボットは大半が配膳しかできません。マルチロボットなら運搬プラスαの様々な付加価値を付けられるんです」

――他社のどんなシステムと連携させるか次第で用途が広がるわけですね。

中野「その通りで、実際にこの会場でもタブレットオーダーシステムとマルチロボットを連携させています。端末から注文が入り厨房の準備が整った段階で『ロボット運搬』を選べば、ロボットがお客様の元に料理を運んでいくイメージです。他にもチャットボットと連携させれば、『トイレはどこですか?』等の質問に応じてお客様を案内できます。要するに我々の標準アプリではないカスタムアプリと簡単に接続・連携ができる。飲食業や宿泊業では多くの場合、すでに何らかのシステムが稼働しています。そこへすぐに後付けできて活躍できるロボットです」

――そもそも貴社の主力は自動車部品ですが、なぜ畑違いとも言えるサービスロボット分野に。

中野「新たな事業分野を模索する中で、エクセディの社員が『ロボットをやろう』と口火を切りました。設備設計で培ったハード的な技術と、情報分野の部署が持つIoTAIの知見をうまくかけ合わせてサービスロボットを開発したんです。サービスロボットの多くは飲食業界で使われますが、『飲食業以外でも使えないのか』という思いもありました。宿泊業や小売りなどにも裾野を広げるのが狙いですし、さらに言えば教育現場でも使えないかと考えています」

――教育現場とサービスロボットがうまく結びつかないのですが、どういった使い方ですか。

中野「我々のサービスロボットはノーコードで動かすことができます。昨今は小学校でもプログラミング教育が行われますが、コードを組んでもPC上でしか物を動かせない。しかし我々のロボットならノーコードで、しかもちょっとした装置ではなく現場で稼働する実用的なソリューションを動かせます。プログラミングのみならず社会的な知識も付くので、総合学習に近いことを実現できるんです。ある小学校では実際に、子どもたちが考えたプログラムで近くのスーパーマーケットなどでロボットを動かす活動をしました。飲食業以外の業界で何かできることはないかと我々自身も常に模索しています」

――それはユニークな用途ですね。ホテル・レストラン向けの展示会は初出展とのことですが、Neiboの活用は進みそうですか。

中野「やはり宿泊業の方々は配膳や下膳、あるいはリネン回収などの裏方業務でお困りです。まずその領域で寄り添える手ごたえはありますし、そこから徐々に先ほど申し上げたような運搬プラスαの価値をお客様と一緒に実現できればと思います。使いやすさや国産ゆえの安心・安全は会場でも好評でした。価格もおそらく国産サービスロボットの中では比較的安価な部類だと思います」

――勝手ながら、異分野への進出ということもありハイエンド寄りの価格だと思っていました。

中野「そんなことはなくて、なかなか競争力も高く仕上がりました。ソフトウェアはより良いものを作るため他社と協業しましたが、ハードは基本的に内製。部品も極力専用にせず、汎用部品を使ってコストを抑えています。エクセディの生産技術力が活きている、と言えるかもしれません」

――見た目もかわいらしいですね。

中野「目を付けたのはロボット感を出したくなかったから。『人に優しい社会の形成』がコンセプトなのに、いかにもロボット然とした見た目では人との共存が難しくなります。実はAIカメラで人を検知し、『積極的に目を合わせにいく』機能も搭載しています。機械に目を付けることで人は機械側に認識されていることがわかり、衝突事故のリスクを軽減する可能性があるという研究結果があるんです。沢山の人の中で稼働させるわけですから安全対策は重要。また小売店で巡回させる場合も、目を合わせることで犯罪の抑止効果が期待できます」

――期待の商品ですね。

中野「社内でも注目されている商品。ぜひ軌道に乗せたいと思います。まずは標準的な機能で使っていただくのが第一ですが、今後は連携のしやすさを活かしてアプリメーカー様との協業も進めたい。様々な可能性をこれから探っていきます」 


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