ロボットで軽切削から重切削まで
- 投稿日時
- 2026/07/30 09:00
- 更新日時
- 2026/07/30 09:00
工作機械と「競演」も
愛知県常滑市で6月13日まで開かれた産業用ロボットと自動化システムの専門展「ROBOT TECHNOLOGY JAPAN 2026」で、実用性を増しているロボット切削にも注目した。
ファナックはロボットと工作機械が共存できることを示した(同社で両事業部が協業して展示したのは初めてという)。固定された複数の刃物類にロボットで保持したワークを押し当てて加工する装置「ロボットマルチプロセッシング」(SIerのトライエンジニアリング製)や切削抵抗の小さいヘリカル穴加工用エンドミル「ドリルミル」(イワタツール製)などを用いて、ロボットが治具固定用の穴加工を実施後、マシニングセンタ(MC)にセットして切削。その後ロボットがワークを取り出しタップなどの後加工を行って見せた。ファナックは「軽加工や斜めの加工は自由度の高いロボットが担い、高精度加工はMCでとフレキシブルなシステムになる。MCは必ずしも5軸制御である必要がなくなりコストを抑えられる」とメリットを話す。
■日本製高剛性ロボが充実
重切削から軽切削までが対象になることを示したのはトライエンジニアリング。500㌔可搬のロボット(ファナック「M-950」)のアーム先端に専用のBBT50番スピンドルモーターを付けた。「この超大型システムは工場内設置以外にプラント工事現場への設置も容易」と言う。一方で8㌔可搬の小型ロボット(安川電機「MOTOMAN-GP8」)には毎分2万回転主軸(ナカニシ製)を付け樹脂加工できることを示した(全軸IP67仕様)。
トライエンジニアリングは6月1日付でロボット加工をはじめとする研究開発などを担うトライテクノロジー(名古屋市守山区)を設立した。その社長に就いた岡丈晴氏は同展で開かれたセミナーで、ロボット加工が広がる背景としてメーカー各社から高剛性ロボットが登場していることが大きいと話した。「従来はKUKAやストーブリなど欧州製しか加工用途で使われる高剛性ロボットがなかったが、近年は安川電機、ファナックからもリリースされている。各軸にセカンダリーエンコーダー(出力軸側にもエンコーダー)を付けて切削加工時に受ける反力によるたわみを補正制御して姿勢を保てるようになった」。同社によると加工向け高剛性ロボットは安川電機から1機種、ファナックから5機種がラインナップされ「切削加工の幅が一気に広がった」。

BBT50番主軸を付けて重切削を実演(トライエンジニアリング)
■計測&フィードバック加工
計測との組合せでも利点がある。岡氏はGFRP製レジャーボートの成形後にトリミングする事例を紹介。ロボットに計測装置を付けて±10㍉ほどのバラツキに対して加工原点を変える。これを絶対精度で加工すると製品にならないという。また溶接ビード(余肉)の切削は材料歪みがあっても計測&フィードバック加工が生かせる。「これらは工作機械でもできないことはないが、オペレーターなしに自動で行う仕組みがあまりない。ロボットはもともと周辺機器を組み合わせて座標系を変える機能を標準的に装備しているので非常に親和性が高い」と言う。
ロボット切削は刃物の性能アップが支えている。イワタツールの「ドリルミル」は独自の底刃形状によりスラスト方向への負荷をほぼゼロに抑え、「従来比5~15倍の加工速度を実現する」。オーエスジーはバリ取り工具(参考出品)を、倣い加工でバリ取りしたアルミワークとともに紹介し、「Rをもたせつつテーパーが入った特殊な刃先でワークのどの部分でも『点』で当たる。方向転換してもバリの取り方が均一になる」と利点を話す。

バリ取り工具(右上)を、バリ取りを施したアルミ製ワークとともに参考出品(オーエスジー)
(日本物流新聞2026年7月25日号掲載)