マテハン、自動倉庫の方式収れんへ
- 投稿日時
- 2025/04/14 09:13
- 更新日時
- 2025/04/14 09:17

仏の雄、30%省面積に
近年、様々なタイプのGTP(Goods to Person)方式の自動倉庫が、小口化や人手不足に課題を抱える物流業界に挑戦してきた。未だ市場では新たな機器が乱立するばかりで決着はついていないが、ここにきて、搬送ロボット自体が保管ラックを昇降するタイプの自動倉庫が続々と世に出てきている。先駆けである仏・Exotecも2月に次世代の「Skypodシステム」をリリース(5面にインタビュー)。同系統の自動倉庫が時代を築くか。
マテハン大手のオーストリア・KNAPP社と自律型ケースハンドリングロボット(ACR)に強みを持つ中・Hai Robotics社は、搬送ロボット自体が保管ラックを昇降するタイプの自動倉庫を相次いで発表した。3月13日までの3日間、ドイツ・シュトゥットガルトで開催された世界最大級の物流テック展「LogiMAT 2025」に合わせたもので、KNAPP社の「AeroBot」は、120もの応募製品の中から最も優れた製品に与えられる「Best Product Award at LogiMAT 2025」を受賞するなど、話題を呼んだ。
両製品とも発表されたばかりのため実稼働時の処理能力は未知数だが、Hai Robotics社は、新発表の「HaiPick Climbシステム」が1000平方㍍あたり毎時約4000箱処理できるとする。また、搬送ロボットの走行速度は毎秒4㍍、ラックの下を自由に移動できるため、保管した製品を2分以内に取り出せると謳う。
この数字は同タイプ第一人者である仏・Exotec社の「Skypodシステム」と遜色ない。加えて、昇降アームは片側のラックにだけ接続するため、ラックの間隔を0.85mまで縮小でき、同社・製品責任者のエドワード・ロン氏は「消耗部となる接触箇所を半減させ、床面への精度要求も緩和でき、導入から運用開始までの期間を最短3カ月に短縮可能」と優位性を語る。
■設置面積を30%削減
一方で、先駆者であるExotecも2月、次世代のSkypodシステムを発表している。基本的なシステム構成はそのままに、AeroBotやClimbシステムと同様にラック下部をAGVが縦横無尽に走行する形に変更。ピッキングスピードを毎時400→600行に、入出庫効率を毎時300→600コンテナへと高め、設置に必要な面積も従来から約30%低減可能にするなど性能を大幅に向上した。
似たようなシステムが続々と出てきていることに対し、日本法人・Exotec Nihon 代表取締役 アジア・パシフィック地域社長の立脇竜氏は、「Skypod系統のシステムがいくつも出てきたことは、搬送ロボットがラックを昇降するシステムが、次世代自動倉庫の解の一つであると端的に示している。我々が開拓してきた分野だが、競合の出現によって市場はさらに盛り上がると見ており、基本的にプラスと捉えている」と余裕を見せる。
(日本物流新聞2025年4月10日号掲載)