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荏原製作所、製造現場の暗黙知をAIで形式知化

投稿日時
2026/04/16 09:00
更新日時
2026/04/16 09:00
荏原製作所 技術経営戦略統括部 CPS推進部 PJ Ebara Brain統括責任者の王宇坤氏

荏原製作所は316日、製造現場の「暗黙知」をAIエージェントで形式知化・継承する「知識駆動型DXプロジェクト」を本格始動したと発表した。31日付での発足で、設計・開発支援システム「EBARA 開発ナビ」と自律分散型AIエージェント基盤「Ebara Brain」を「知識」を軸として融合したもの。複数のAIエージェント間で知識の集約・深化・交換を可能にするシステムの実用化は日本初という。

技術的基盤は東京大学の梅田靖教授が提唱する「デジタルトリプレット」の概念だ。物理空間とデジタル空間からなる従来のデジタルツインに「知識空間」を加えた三層構造により、熟達技術者のノウハウをAIが推論・継承できる仕組みを構築する。

記者発表会でEbara Brainの統括責任者を務めた王宇坤氏は「製造の真の力は単なるデータではなく、現場の熟達技術者たちが持つ経験や判断、いわゆる暗黙知にある」と語り、知識をAIと共に進化させる「知識ドリブン」への転換を掲げた。同社技監の後藤彰氏も「個人の知識をまとめたものが組織の知になり、組織の知をまとめたものが企業の知識になる。組織がどう変わっても、その軸を失ってはいけない」と述べ、変化の時代における知識基盤の重要性を強調した。

給水ユニットを対象とした概念実証(PoC)では、設計プロセスの85%AIが生成でき、設計諸元間の関係性予測でも83%の精度を達成した。今後は28年までに4段階で展開し、社内の多様な事業領域での検証を経て中小製造業への普及も視野に入れる。



(日本物流新聞2026410日号掲載)