「立ったまま伸縮」で業界の常識変革
ピカコーポレイションの「スタッピー(Stapi)」シリーズが、発売から10周年を迎えた。「上部操作機構」を搭載した同製品は、従来の操作方法である屈んで操作する脚部の伸縮方法から立ったまま、ワンタッチで伸縮を操作する事ができる。それにより作業員の身体的負担の軽減や作業効率性のUPに繋げる事ができる製品だ。環境改善のニーズを的確に捉え、市場に「新たな常識」を創出するヒット製品として定着している。
建設や設備、内装などの現場には段差がつきものだ。従来の製品は脚元での操作が前提であり、作業員は高さを調整するたびに何度も屈伸姿勢を強いられていた。「伸縮操作は脚元ですることが当たり前なのか」。同社開発陣が現場の光景に抱いたこの違和感こそが、人間工学に基づく「スタッピー」誕生の起点となった。
開発の壁となったのは、立ったまま操作する上部機構の実現である。従来のロック機構を延長するだけでは強い力が必要になる。そこで同社は踏ざんの中に上部操作バーを設置し、軽い力で操作できる独自のロック機構を新たに開発した。これにより、1脚ごとの微調整や4脚同時の伸縮操作を、立ったままワンタッチで行うことを可能にした。従来の脚元からの操作にも対応し、現場での柔軟な運用と安全性を両立させている。
この新ソリューションが市場から強く支持された背景には、社会構造の急速な変化がある。慢性的な人手不足や高齢化による身体的負担の増加、さらには労働安全衛生法の改正による安全意識の高まりにより、現場環境の再設計が急務となっていた。市場の評価軸も、単なる価格訴求から「良いモノを長く使う」という付加価値重視へとシフト。スタッピーはこうした多様化する現場の潜在ニーズを見事にすくい上げた。導入現場からは「作業が圧倒的に楽になった」との声が相次ぎ、高いリピート購入につながっているという。
発売からの10年間、同社は「現場にはどのような課題があるのか」という視点を重視し、進化を続けてきた。使い勝手や操作感、細かな部品形状など、見た目には分かりにくい部分も含めて継続的な改良を重ね、多様な作業に対応する業界最多の製品カテゴリーへと成長させた。
10周年を機に、同社は展示会やメディアを通じた情報発信をさらに強化し、市場開拓を加速させる方針だ。同社にとってスタッピーは「現場の当たり前を変える」という開発思想そのものであるという。今後も進む現場の高齢化や省力化、安全性向上といった課題に対し、培ったコアな技術を応用した新製品開発にも意欲を見せる。次の10年も、作業員の安全と快適な労働環境を脚元から支え続けていく構えだ。
(日本物流新聞2026年7月25日号掲載)