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モノづくり入門

【第2回】いまさら聞けないモノづくりの基礎知識

投稿日時
2024/10/10 10:12
更新日時
2024/11/13 15:41

放電加工機

連載「モノづくりの基礎知識」の前回初回では、現場視点も交え「機械加工とは?」を取り上げました。2回目は放電加工機についてです。機械加工とは、の次が放電加工機とは、主幹道路から急に狭路に入るようで流れが悪いとお思いでしょうが、理由はあります。前回も記したように機械加工の主役は断然工作機械。放電加工機もその一種だから、同じように機械加工を担うものと思われがちですが「ちょっと違います」と、連載中なるべく早く言っておきたかったからです。

機械的エネルギーを使う機械加工に対し、非接触の電気エネルギーで金属を溶融除去する放電加工は、電気加工や電解加工と呼ばれてきました。もっとも、機械加工を(1)切削加工、(2)研削加工、(3)特殊加工と分け、放電加工をレーザー加工や超音波加工などとともに(3)に入れる分類法もありますが。しかし、ようは原理が違う別物です。

ただ金属加工の現場では「切削VS放電」の構図で、長年しのぎを削っています。油や水からなる加工液のなかで、電極と金属ワークのわずかの隙間に5000℃以上にもなる火花(アーク放電)を毎秒うん万回ほども飛ばして表面を微小に溶融していくのが放電加工機。電極の種類・形状によって形彫放電加工機やワイヤ放電加工機などがあります。

さて、長期戦の「切削VS放電」は決着がついたのでしょうか。答えは現場によって違います(回答を控えるわけでありません)。放電加工は導電性のある金属なら硬いものも精密加工できることが最大の特長ですが、切削も高硬度材加工で進化しています。他方、放電加工は時間のかかるのがデメリットで、思案したあげく「放電レス」を進める金型業者なども少なくありません。

マーケット規模をみると、切削加工機を代表するマシニングセンタだけで放電加工機の10倍近い販売額があり、需要の違いは一目瞭然。ただ成長率予測を見ると放電加工機を有望視する調査機関もあります。私的には市場性という点で、カレーライスVSハヤシライスにダブるイメージを勝手に持っていますが(お後がよろしいようで)。


放電加工機、月曜朝が怖いわ


加工に時間がかかる放電加工機は無人化自動化で過去から先行してきました。切削と違って衝突・刃物折損などによるダメージの不安がなく、長時間無人稼働がやりやすい。金曜夜にプログラムをセットし、月曜朝に完成ワークを取り出すパターンも定着しています。でもだから「もう毎週、月曜朝830分が怖いのよ」と、とある気さくな中年の女性オペレーター。「以前ミスで全く違う品物ができちゃっててさ。損失は10万、20万どころじゃないのよ~」。



(日本物流新聞1010日号掲載)