モノづくり入門
【第44回】いまさら聞けないモノづくりの基礎知識
DXモノづくり ――昨日・今日・明日――(3)
- 投稿日時
- 2026/09/09 16:47
- 更新日時
- 2026/09/09 16:49
今号はDXの明日を展望します。前号で断言的に「AIがマストで絡むのが今日のDX」と記しましたが、今後についても進化するAIを抜きにDXは語れません。

AIの進化については、この分野の世界権威レイ・カーツワイル氏が約20年前、「2045年にAIが全人類の知能を超える」と予測したことが有名です。ただ現実感をいえば「もう超えられ」、「指数関数的に高度化するAIは人間を置き去りにしそう」と思う向きもあるよう。AIを経営パートナーにしたり、AIの提唱に基づき施策実行する例も「今ふつうに」見られます。ちなみにカーツワイス氏は「文明もAIが創る時代に入る」と予言しています。
そうした状況のなかで将来(近い日?)のAX/DXをどうモノづくりに取り込むか。
市場性としては、技術者以外にも誰もが自社にあうAIをつくれる「カスタムAIツール」が相当なマーケットになるとの見方があります。
また書面生成から機械動作まで複数領域を担うマルチモーダルAIや、量子コンピュータにより能力を飛躍させたクアンタムAIが活用対象に加わりそうです。さらに未知のAIが衝撃と知名度を伴って世間を騒がすケースも出るでしょう。デジタルツイン・自律型工場の急進化と普及も想定内です。
一方、政府の成長戦略「40年度までに成長17分野に370兆円超を投資」の中身を見ると、AI向け半導体などの間接連関も含めAX/DXへの投資が約半分に達すると見られます。他方、民間投資はこの誘発効果から、政府規模以上のAX/DX投資を行うと複数の有識者が見立てており、大規模投資が継続見込みです。
個に問われるのは、AIが提唱し人が判断するプロセスをどう構築するか。AIエージェントに任せるための仕組み(社内ルール)をどうするか決めておくことでしょう。でないとAIを巡ってプラン倒れとなって、結局「形」にできないケースが続きそうです。
他方、AIのデメリットも急増大しそうです。総務省は人間とAIの健全な協業をベースとする将来社会の実現に関し「信頼できるAIと、適切にAIを信頼できる力の双方を目指した先の地平に広がっているであろう」(昨年度版情報通信産業白書より)としています。
(おわり)
50倍増の市場のなかで
自律的に仕事等をこなすAIエージェントの世界市場は24年以降の10年間で50倍相当の2500億ドル(約40兆円)へ拡大すると世界大手調査会社が試算しています。とすれば関連する製造業も多忙続きに。しかし反AI的な流れもあります。日本政府の10年ほど前の懇談会では既に「知らず知らず人がAIに支配される時代になる」旨の警告も出ていました。地球環境保全を絶対最優先にすれば、AIが地球のガンともなる人類を滅ぼそうとするかもしれません。AI規制の流れも視野に入れて取り組む時代になりそうです。
(日本物流新聞2026年9月10日号掲載)