高精度平面研削盤やパワー半導体向け研磨装置の根強い需要を捉え、さらなる成長を見込む岡本工作機械製作所。好機の波を確実に捉えるべく、半導体装置の技術開発棟新設やタイ工場の拡張など、国内外で積極的な投資を展開。さらに三井物産と連携した北米や台湾での販売網強化、注目が集まるインド市場への展開など、グローバル戦略も加速させている。本稿では、技術開発本部長兼営業本部長の伊藤暁常務に、足元の需要動向から今後の海外販売・サービス体制の強化策まで話を聞いた。
――近年の内外需の比率を教えて下さい。
ここ数年、海外6割、国内4割の割合でしたが、外需比率は徐々に上がってきています。台数ベースではあまり変わらないのですが、円安の影響等で金額ベースでの伸長が目立ちます。
日工会の数字では外需7割以上になっていますが、それよりは少し低い数字になります。ただ、外需が伸びる際は、マシニングセンタや自動旋盤といった機械が先行して売れて、それから数カ月のタイムラグを経て研削盤にニーズが来る、というのが通例です。
――昨年から外需の伸長が著しいですが、貴社にもそろそろ波が来ているのでは。
年初から徐々に引き合いが来るようになり、ここ数カ月はより具体的な商談が増加しています。ですので、今後期待を持てそうな状況になりつつあります。
――半導体向け研磨装置はいかがでしょう。
一時的なユーザー企業の投資計画先送りや在庫調整などにより軟調な局面もありましたが、パワー半導体向けを中心とした需要は根強く、2026年は上向きの傾向を見せています。特に東アジアや欧州、米国向けにファイナルポリッシャーやグラインダの受注が増加しています。
――半導体向けには意欲的な投資も行っています。
昨年12月、さいたま市北区に、10億円を投資して半導体装置の技術開発棟およびショールームとなる拠点を新設しました。こちらはSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などの次世代パワー半導体向け装置のデモや技術開発を行い、顧客への提案力を高める中核拠点となります。
――海外からの受注への対応についてお聞かせ下さい。
当社は中国、タイ、シンガポールに生産拠点を持っていますが、海外からの受注はタイ拠点からの輸出が大半です。タイ工場は日本で研修を行った技術者が日本と変わらないものづくりをしています。
■サービス人材育成に注力
――今後、さらなる受注の伸長が見込まれますが、サービス面や生産面についてお聞かせください。
今年2月には安中工場に自動倉庫棟の稼働が始まりました。こちらは生産における省力化や効率化のみならず、アフターサービスにおける部品管理・供給体制の迅速化にも大きく寄与します。海外では2024年にタイ工場の隣接地を取得しています。こちらは研削盤ラインナップの多様化・高精度化に対応するための新工場を検察予定で、竣工後は30%の生産能力増を見込んでいます。

さいたま市にオープンした半導体向け拠点
――海外セールスにおいて、資本提携された三井物産との連携はいかがでしょう。
はい。特に北米では2024年に三井物産の100%子会社であるエリソン社と、米国における当社製工作機械及び半導体関連装置の販売強化に向けた取り組みを行っています。エリソンは全米で工作機械および産業機械の販売を行っており、強固な顧客基盤と販売、サービスネットワークを持っており、今後、北米でのセールス拡大に大きな期待を寄せています。
また台湾においても三井物産と連携して、現地装置メーカーを巻き込んだ工程開発を開始するなど、グローバルでシナジー効果が出てきています。
――今後、注目されているエリアについてお聞かせください。
やはりインドですね。自動車から半導体、EMSなど市場規模もニーズも高い。現在はプネーに拠点を置いていますが、今後はエリアを拡大して対応していきたいですね。また現地の製造ニーズや市場環境に適応した機種の開発にも取り組んでいます。
――海外での受注獲得に向けて取り組んでいくことは
サービス人材の育成ですね。インドをはじめ、今後の成長が見込まれる地域の人材育成に注力しています。幸いにして円安ですので、日本から知識を持った技術者を派遣して育成する方針を取っています。やはり機械を売るだけではなく、しっかりとメンテナンスができる人員がいなければ持続的な発展は見込めません。
執筆:モノクエ編集部
本記事は、創刊70年超のモノづくり専門紙「日本物流新聞」の編集部が制作しています。製造業に精通した専門記者が、現場取材に基づいた正確で鮮度の高い情報をお届けします。
(日本物流新聞2026年5月15日号掲載)