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インタビュー

シチズンマシナリー 加藤 一良 氏 
インド販売会社設立、グローバル生産深化へ

投稿日時
2026/05/19 17:01
更新日時
2026/05/19 17:29

地域別需要を逃さずキャッチ

外需が堅調に推移する中、シチズンマシナリーは半導体、医療、航空宇宙分野などを軸に受注を伸ばしている。特に中国向け半導体関連や欧米向け高付加価値機が好調で、インド市場への攻勢も強める構えだ。各地域の需要動向や生産戦略、今後の成長分野について同社経営企画部の加藤一良氏に聞いた。

――直近の受注・輸出動向について教えてください。

日工会の受注推移とほぼ同じような動きです。現状は外需が堅調で、特に中国向けが牽引しています。やはり半導体関連の需要が強いですね。輸出先の構成比は中国向けが約3割です。欧州も同じく3~4割程度を占めています。当社は中国、アジア、欧州、米国と、地域バランスを見ながら運営していますので、どこか一地域だけに依存するという形ではありません。

――欧州市場の回復感はいかがでしょうか。

自動車関連はまだ弱含みですが、特に航空関連は活況です。また宝飾関連などの精密部品加工ニーズも底堅く、全体としては回復傾向と捉えています。

――北米市場は。

米国は昨年末ごろから駆け込み受注が増えました。その反動で今年1~3月は少し落ち込みましたが、足元では再び立ち上がり始めています。ジョブショップ系のお客様が多く、その中でも医療関連は引き続き堅調です。

――地域によって求められる機種は異なりますか。

かなり違います。欧州や米州では、高付加価値機への評価が高いですね。例えばLFV(低周波振動切削)搭載機などは、欧州では高い割合で採用されています。一方、中国やアジアでは価格競争力が重視されるため、エントリーモデルの需要が中心になります。

――複合加工機はいかがでしょうか。

複合加工機は欧州展示会でもかなり評価が高く、引き合いや受注も増加傾向にあります。従来の自動旋盤領域だけでなく、これまでマシニングセンタが担っていた領域も一部取り込んでいきたいと考えています。

――アジア圏で競合するメーカーは。

中国では日系大手各社との競争が非常に激しいです。中国製の加工機も年々性能が上がっていますので油断はできません。ただ、半導体向け、とりわけプローブピン加工では、おかげさまで当社機を選んでいただくケースが多いですね。

半導体検査用のプローブピンは非常に細く、0.5㍉以下、場合によっては数十ミクロンという世界です。当社には、その加工専用機があります。専用機では1㍉径領域で高精度加工に対応しており、通常より高い2万回転の主軸回転数を実現しています。

――かなり特殊な加工領域ですね。

はい。例えば1㍉程度の材料から、80~90ミクロンまで削り込むケースもあります。切りくずのサイズ感も非常に小さく、微細加工の領域です。

供給体制の最適化へ

――地域ごとの生産体制について教えてください。

日本では高付加価値機の組み立てと、スピンドルなどキーパーツの加工を担っています。品質の根幹に関わる部分は、基本的に日本で生産する考えです。タイ工場ではシンコムブランドのエントリーモデルから中価格帯機を組み立てています。タイから欧州、米州、アジアへ直接出荷しています。日本向けのみ、一部最終仕様に合わせた組み立てを国内で行います。

中国は基本的に地産地消です。中国向け機械を現地で生産しています。機種としてはエントリーモデルから中価格帯機が中心です。フィリピン工場はミヤノブランド機の組み立て拠点です。鋳物工場も保有しており、中価格帯機をグローバル向けに供給しています」

――ベトナム工場の強化も進めています。

ベトナムで生産していた鋳物加工の一部は、これまで日本に持ち帰り加工していましたが、新工場では加工まで一貫対応できる体制を整えています。物流効率やコスト低減につながりますし、サプライチェーン全体の最適化を狙っています。

――今後、有望視している市場は。

やはりインドですね。中期経営計画でも重点市場に位置付けています。EMS関連など大型案件の話も来ていますし、今後はさらに市場が拡大すると見ています。インド市場における事業拡大および販売・サービス体制のさらなる強化を目的に、202610月にインド販売会社を設立します。

インドのニーズとしてお客様が加工したいものに対してすぐ提案でき、トラブル時に迅速にアフター対応できる体制を整える必要があります。今回の現地法人設立により、2027年度までに現在の約2倍となる年間400台の販売体制構築を目指します。

――中国市場の先行きは。

半導体関連を中心に、まだ勢いは続くと見ています。ただ、下期に向けては不透明感もあります。医療関連は比較的安定していますし、EV関連は少し様子見という状況ですね。まだ具体的な段階ではありませんが、ヒューマノイド関連も有望分野の一つと考えています。ヒューマノイド向け部品は小型・高精度加工が必要になりますので、当社が得意とする領域です。すでに中国では引き合いも始まっています。

――そのほかのアジア市場は。

ベトナム市場がかなり活況です。以前は日系・韓国系・中国系企業からの引き合いが中心でしたが、最近はベトナムのローカル企業が増えています。財閥系のモビリティ企業などは日系メーカーを凌駕する勢いでセールスを伸ばしていますし、市場として成熟し始めている印象があります。

財閥系のモビリティ企業が存在感を高める中で、市場環境にも変化の兆しが出てきていると受け止めています。

――最後に懸念材料は。

中東情勢ですね。欧州では一部様子見の動きも出ています。また塗料など資材調達も依然不安定で、しばらくはバタバタした状況が続きそうです。

シチズンマシナリー.jpg

欧米を中心に高付加価値機の引き合いも活発化している




執筆:モノクエ編集部
本記事は、創刊70年超のモノづくり専門紙「日本物流新聞」の編集部が制作しています。製造業に精通した専門記者が、現場取材に基づいた正確で鮮度の高い情報をお届けします。



(日本物流新聞2026年5月15日号掲載)