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インタビュー

ノーリツ 社長 竹中 昌之 氏 
非住宅分野で攻勢

投稿日時
2026/04/27 09:00
更新日時
2026/04/28 09:53

工場の排熱活用でエネルギー消費抑える

環境配慮型商品と高付加価値商品で業績を伸ばしている湯まわり設備メーカーのノーリツ。収益基盤である住宅向け分野から、さらなる成長を目指し非住宅分野への攻勢を強めている。ガス市場で約60%の圧倒的シェアをもつ業務用機器を軸に新設・更新需要を着実に獲得する一方、非対人領域では熱交換・流体制御のコア技術を武器とした独自のソリューション提案を展開している。非住宅分野の成長戦略の全貌を竹中昌之社長に聞いた。

ノーリツ 代表取締役社長 竹中 昌之 氏

――非住宅事業の現況についてお聞かせください。

「住宅分野では自然冷媒R290を採用したハイブリッド給湯システムを筆頭に環境配慮型・高付加価値商品が好調ですが、同時に非住宅市場のさらなる開拓にもアクセルを踏んでいます。我々が販売している業務用ガス機器は中期的には成熟期を迎えるとされていますが、温水式ボイラー市場は業務用ガス給湯器の市場よりも金額ベースは非常に大規模であり、台数としては縮小傾向にあるものの底堅い需要が存在します。当社はガス市場で約6割という高いシェアを有しており、ガスだけでなく石油や電気を含めたオールエネルギー対応で、ボイラー市場における機器の省エネ化、環境対応を加速させます。業務用ヒートポンプ給湯機のパイオニアであるイトミックとの連携による新製品も展開中。環境規制の強化や地政学リスクやエネルギーコストの上昇、人手不足を背景に、省エネ・生産性向上へのニーズは高まっており、独自技術とサービスを掛け合わせ、市場の優位性を高めて大きな成長を狙います」

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魚の養殖と野菜栽培を融合した次世代農法「アクアポニクス」の熱管理を最適化した納入事例。水槽と野菜の温度差を「未利用熱」として利用する加熱冷却システムにより、消費エネルギーを半分以下に削減した

――具体的な成長戦略の柱は何ですか。

「まずは、高シェアを有している業務用マルチ給湯器の需要拡大をベースに、保守契約や安心保証リースといったサービスを付加することです。業務用において『お湯が出ない』ことは事業停止にかかわる問題ですから、遠隔監視・保守DXや即座に駆け付ける安心感を提供するサービスモデルは非常に伸びています。次に、食品加工工場などで求められる高温出湯ニーズに対し、現在84度に対応する高効率ガス給湯器のラインナップがありますが、さらなる高温への対応も検討していきます。硬水など特殊な水質対応の給湯器にも応えていきたいですね。加えて『省施工』。現場の人手不足は深刻で、昨年は組立配送(ユニット化された状態での納入)の実績が25年で15倍になりました。組立配送の出荷台数の伸び代はまだまだ大きく、今後も強力に推進します。目指すところとしては、これらの価値を総合した『ソリューション提案』で収益に貢献していくこと。ヒートポンプ給湯器との組み合わせや給湯使用実態に応じた最適な設備制御、排熱を利用した『熱ソリューション』など、過去納入した多くの施設に省エネのトータルソリューションを展開したいです」

■「未利用熱」活用で非対人領域を開拓

――「熱ソリューション」とは、どのような内容でしょうか。

「給湯器開発で培った燃焼制御や熱交換、流体制御というコア技術を生かし、産業排熱や自然エネルギーの『未利用熱』を活用するオーダーメイド型のシステムを昨年から展開しています。具体的には、工場やプラントのプロセスから発生する排熱や排気、井戸水や蒸発潜熱といった自然エネルギーに着目し、別工程における熱源利用や暑熱対策、漁業、農業、水産などの温度管理補助に活用します」

――排出されていた熱を活用できれば省エネ・脱炭素にも繋がります。

「『熱そのもの』に着目した我々のシステム構築は、効率良く熱を移動させる熱交換技術に複雑な流量調整と温度制御のノウハウを組合せています。これには高度な技術的ノウハウが必要で、お客様に深く刺さっている訴求ポイントです。当社のシミュレーションでは、電気で冷水を作るチラーと比較して、未利用熱の活用はCO2排出量とエネルギーコストを劇的に削減できます。エネルギーを完全にゼロにすることは難しいですが、代替エネルギーとして未利用熱を有効活用すれば、エネルギー消費を大きく削減できる可能性がある。脱炭素への意識が非常に強いお客様にとって、極めて有効な選択肢となります」

――非住宅分野においては、給湯器メーカーとしての『モノ売り』だけでなく、技術を軸にしたソリューション提案が成長のカギに。

「新設住宅着工戸数の減少というマーケットの課題を抱える中、非住宅・産業分野での事業展開は必然の流れです。当社の非住宅事業は非常に高い伸長率となっており、当社のパートナーである管材ルートや設備の販売店様は、地域に根ざした強い機能を持っておられます。業務用ガス給湯器が普及し始めて約30年。我々には膨大なストック(既設台数)があり、この更新工事に合わせ、より効率的で環境に優しいシステムへ置き換えていく提案をしていくこと。それが我々のビジネスチャンスであると同時に、地球環境にとっても最適なありたい姿です」



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【右から】「非住宅分野を深耕・開拓し収益化を進める」と語る竹中昌之社長と国内事業統括本部非住宅事業部 鍋島弘樹部長、非住宅事業部非住宅推進部 小宮山岳梓事業企画グループリーダー



(日本物流新聞2026425日号掲載)