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インタビュー

AIソリューションズ 社長 新井 郁雄 氏
5軸向けCAD/CAM、使いこなせるまで支援

投稿日時
2026/08/25 14:26
更新日時
2026/08/25 14:31

営業力より、まず技術力

5軸加工向けCAD/CAM「hyperMILL(ハイパーミル)」を中心に、設計ソフトの導入から立ち上げ、加工技術の支援を行うAiソリューションズ。工作機械メーカーや工具メーカーとも深く連携し、ユーザーの加工における最適解を提供している。創業以来、ソフト販売だけでなく技術支援を重視してきた同社新井郁雄社長に、足元の需要、AI活用、今後の事業展望を聞いた。

――足元の景況感は。

「前期は非常に好調でした。過去最高ではありませんが、教育分野で大きな需要があった年を除けば過去最高の業績です。利益も含めて安定的に推移しています。今期は出だしこそ前期を上回る状況ではありませんが、当社は例年、下半期に大きく伸びる傾向があります。営業現場でも案件が積み上がっているため、今後に期待しています」

――どのような分野に手応えを。

「AI需要の急拡大によって世界各地でデータセンターの建設が進んでいますが、大量の電力を必要とするため、比較的環境負荷の小さい天然ガスを利用した発電設備、ガスタービンなどの需要が伸びています。当社が得意とする複雑形状の加工とも非常に相性が良い分野です。重工メーカーが多くの受注を抱えているという情報もあり、今後もこうした需要は続くと考えています」

――国内でハイパーミルの販売を伸ばしてきた理由は。

「日本では機械商社、販売店との連携が非常に重要です。当社は創業当初から、多くの機械商社、販売店と密接な関係を築いてきました。そうした販売網と連携しながら、当社自身も前面に立って技術面を支援してきたことが、販売を伸ばしてきた大きな要因だと思います」

――創業時から技術力を重視されている。

「当社創業のきっかけは、ドイツの展示会で先進的な加工現場を見たことでした。日本でも5軸加工の需要が増えると考え、独立しました。一方、優れたソフトを販売するだけでは、5軸加工は普及しません。ソフトをどう使うかという技術まで一緒に提供する必要があります。そこで、営業力よりもまず技術力をお客様に提供することを重視してきました。技術を提供し、お客様から評価されれば紹介につながる。そうした好循環が現在につながっています」

――工作機械メーカー、工具メーカーとの連携も。

「5軸加工用のCAD/CAMを広げるには、工作機械メーカーとの技術交流が欠かせません。機械や制御によって機能が異なりますから、お客様がどの機械を導入するのか、その機械にはどのようなポストプロセッサが必要なのかを早い段階で把握することが重要です。メーカーと情報を共有し、機械に合ったデータを迅速に提供することで、導入から立ち上げまでの期間を短縮できます」

「工具メーカーとの連携も進んでいます。実際にハイパーミルを使ってもらい、『こういう機能があれば、この工具でもっと効率化できる』という情報を工具開発に生かしてもらうケースもあります。機械、工具、CAD/CAMそれぞれの技術を持ち寄ることで、相乗効果が生まれています」

■製造現場をトータルで支援

――近年、5軸加工の普及は進んだと感じるか。

「かなり浸透してきたと思います。工作機械メーカーが5軸を主力商品として展開するようになり、工程集約の流れが強まっています。これまで3軸で行っていた加工や、別工程で行っていた加工を、1台の5軸機で仕上げる方向です。実際の導入事例も増え、ユーザー同士で情報が広がっています。補助金制度が高付加価値化を後押ししていることもあります」

「もう一つ大きいのが人材です。海外から高いスキルを持った人材が製造現場に入ってきているほか、工業高校などでもCAD/CAMを導入する動きが広がっています。当社も工業高校や工業技術専門校などでセミナーや指導を行っています。若い段階からCAD/CAMに触れてもらうことは、将来のオペレーター育成につながります」

――AIの活用への関心も高まっている。

「実際にお客様から『AIでできないのか』という問い合わせは増えています。ハイパーミルでは形状を自動認識し、登録した加工パターンから適切なものを選び、加工条件を自動選定して加工パスを生成する機能など、すでに自動化が進んでいます。穴加工についても、属性を認識して多面加工や割り出しを含めて自動出力することができます」

「一方、クラウド型のAIには課題もあります。加工データをインターネット経由で処理する場合、セキュリティの問題が避けられません。特に当社のお客様には秘密保持契約を結んでいる企業も多く、社外にデータを出せないケースがあります。加工ノウハウそのものが企業の競争力ですから、AI活用でもセキュリティは非常に重要です」

――今後、AIにより設計ソフトはどのように進化する。

「AIを活用し、2軸だけでなく3軸、割り出し、5軸まで、よりスムーズに加工パスを自動生成する方向に進むと考えています。ハイパーミル自身が自己完結できるようなAI活用も当然、想定されます。ただし、AIを使うこと自体が目的ではありません。製造現場でいかに効率化できるかが重要です」

――貴社の今後の方向性は。

「設計ソフトだけにとどまらず、製造業全体を支援する会社を目指したいと考えています。AIやフィジカルAIの進化によって、製造現場ではさらなる効率化が進むでしょう。CAD/CAMに加えて、生産管理や工程管理なども含め、AIを活用したトータルなシステムを提案できる企業になることが、これからの方向性だと考えています」

「ただし、根本にあるのは技術力です。ソフトを販売して終わりではなく、お客様が実際に使いこなし、成果を出せるところまで支援する。その姿勢は創業以来変わりません。今後も工作機械メーカーや工具メーカーなどとの連携を深めながら、製造現場の高度化を支えていきたいと思います」

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AiソリューションズはhyperMILL国内12年連続セールス1位を記録




執筆:モノクエ編集部
本記事は、創刊70年超のモノづくり専門紙「日本物流新聞」の編集部が制作しています。製造業に精通した専門記者が、現場取材に基づいた正確で鮮度の高い情報をお届けします。




(日本物流新聞2026年8月25日号掲載)