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インタビュー

海川日豊(天津)智能制造 只勇社長 
日本市場に進出 破格コストと「日系品質」両立へ

投稿日時
2026/08/07 16:00
更新日時
2026/08/07 16:06

一貫体制&ソフト開発でスマート製造に旋風

自動搬送ロボットやスマート物流システムを手掛ける中国企業、海川日豊(天津)智能制造。天津に拠点を置く同社はトヨタグループなど多くの日系企業を顧客に持ち、ベテラン専門人材による高い技術力とコスト競争力を強みとしている。ハードウェアの製造から独自の倉庫管理システム(WMS)の開発まで一貫して行い、古い設備の自動化や狭小スペースへの対応など、現場に即した柔軟な提案で豊富な実績を積んできた。昨年には愛知県に日本法人を本格始動させ、日本国内での営業・アフターサービス体制を強化する。同社を率いる只勇社長に、なぜ高いコストパフォーマンスと高品質な提案を両立できるのか、革新的な強みと現場力について聞いた。

自動搬送ロボットやスマート物流システムを手掛ける中国企業、海川日豊(天津)智能制造。天津に拠点を置く同社はトヨタグループなど多くの日系企業を顧客に持ち、ベテラン専門人材による高い技術力とコスト競争力を強みとしている。ハードウェアの製造から独自の倉庫管理システム(WMS)の開発まで一貫して行い、古い設備の自動化や狭小スペースへの対応など、現場に即した柔軟な提案で豊富な実績を積んできた。昨年には愛知県に日本法人を本格始動させ、日本国内での営業・アフターサービス体制を強化する。同社を率いる只勇社長に、なぜ高いコストパフォーマンスと高品質な提案を両立できるのか、革新的な強みと現場力について聞いた。


――まず、貴社の歩みと強みを教えてください。

「当社は2014年に親会社のソフト開発会社からスタートしました。自動化やスマート物流、デジタル化への需要拡大に伴い、23年にスマート製造を担う『海川日豊(天津)智能制造』を設立し、現在に至ります。200社以上の顧客を持ち、そのうちの90%以上が日系企業です。残り7%は欧米企業、3%が中国国内のローカル企業です。分野は主に自動車業界で、食品や薬品関係もあります。最大の強みは仕様策定から機械・電気設計、ソフト開発、設備製造、組み立て、現場導入、メンテナンスまで外注なしの自社一貫体制で提供できる点です。社員127人のうちエンジニアが約75%を占め、マネージャー以上の技術系幹部は全員、日系企業での実務経験が15年以上もっていることが基本要件です。日系基準を熟知したベテランが揃っているからこそ、求められる厳格な安全基準や通信・電気基準を確実にクリアできます」

――日系企業に深い知見を持つ人材を揃える貴社だからこそ実現した、具体的な導入実績は。

「天津近郊のA社の無人化工場化の案件は、まさに当社の技術的真価が問われたプロジェクトでした。この工場は稼働年数が長く、既存設備も数十年前の旧式な日本製品が中心でした。最新の自動化設備のように通信や制御が容易ではなく、また、スペースも極めて限られ、狭い通路幅など制約のある空間をいかに有効活用するかが求められました。このような現場は、新しい企業の若い技術者では対応が難しいですが、日系工業の設備を熟知している当社のエンジニアなら最適な設計ができます。制御開発と現場設計が密に連携しながら、AMR同士がすれ違う隙間を最小限かつ安全な運航距離を確保し、ライン横の架台や部材の位置も検証を重ね、効率的な稼働と制限の中で最大のニーズを充たすことができました」

海川_中国工場外観.jpg

天津にある同社の中国工場

■ソフト内製でコスト削減、日本でも攻勢

――価格競争力ではどうでしょう。

「お客様の要求を満たすだけでなく、コストパフォーマンスの面でも大きな優位性を持っています。機械、電気、ソフトウェアを自社で一括開発・製造することで大幅にコスト削減できるからです。例えば先ほど挙げた案件では、他社の見積もりと30%ほどの差額をつけて提示できました。また、新規開発すると非常に高額な開発費用(R&D費)がかかりますが、ノウハウを活かし個別のカスタム設計から「標準品」への置き換えができる仕組みを確立しました。従来は工場ごと、案件ごとに一からWMS(倉庫管理システム)をスクラッチ開発していましたが、長年の日系大手の実績をベースにしたWMSパッケージを完成させ、新規案件でも多くのニーズにそのまま適合できます。自社ソフトをベースとした対応により、さらに完成コストを大幅にカットできます」

「また、当社のWMSは単に入出庫を記録するだけではなく、入出庫傾向から在庫状況を自動分析し、高頻度で動く部材を作業台の近くに配置するなどの最適化分析が備わっています。APIをオープンに設計しているため、新しい設備を追加してもスムーズに接続カスタマイズが可能、日系企業と相性のいいソフトを開発済みです」

――ソフト開発会社からの出自を活かした大きな競争力が魅力ですね。昨年に日本法人を愛知県に設立されました。日本での戦略は。

「25年2月、愛知県に営業・アフターサービス・ショールームを兼ねた日本拠点を設立しました。すでにアイシンやデンソーへの設備導入の実績があり、現在もトヨタグループを含む日系企業への提案を進めています。自動車産業だけでなく、製薬業界や食品業界のお客様も伸ばしていきたいです。日本市場攻略のためには、高いサービス品質やスピード感のある保守体制が必須。これをクリアするため、サポートを即座に提供できる体制を整えています。ビジネスモデルとしては日本で営業がヒアリングした仕様を中国で設計・製造し、完成した機器を愛知の工場に送り再組み立てし、事前確認を行ってから納品します。コストダウンを達成しながら、徹底的な安全と高品質を保証しています。単に価格面での魅力だけでなく、高い要求水準を熟知したプロフェッショナルなサービスを提供できる点で選ばれています」

――最後に、今後のグローバル展開へのビジョンをお聞かせください。

「当社は世界中のお客様に、スマート製造のトータルソリューションを提供するグローバル企業です。今年の年末にはタイに新規拠点を設立し、27年にはドイツにも拠点の設立を計画しています。現地のグローバルな日系企業を強力にサポートできる体制を整え、高いコストパフォーマンスと日本基準を熟知したベテラン陣の技術力で、世界の製造現場の自動化に貢献していきます」

海川_日本工場外観.jpg

昨年2月愛知県に設立した日本法人拠点。営業やアフターサービス、展示スペースを担う






執筆:モノクエ編集部
本記事は、創刊70年超のモノづくり専門紙「日本物流新聞」の編集部が制作しています。製造業に精通した専門記者が、現場取材に基づいた正確で鮮度の高い情報をお届けします。




(日本物流新聞2026年8月10日号掲載)