インタビュー
日本食糧新聞社 取締役副社長 平山 勝己 氏
FABEX、中食産業の成長とともに拡大
- 投稿日時
- 2026/05/13 09:00
- 更新日時
- 2026/05/15 15:58
29年で出展規模4倍に
食品・食材、機器、容器に関する業務用「食」の総合展「FABEX」を東京、大阪、名古屋で主催する日本食糧新聞社。東京展は4月に29回目が開催され、3日間で5万7056人が訪れた。同展盛況の背景や、構成する専門展に「食品工場スマート化総合展」が加わった理由を聞いた。

電通系の広告代理店を経ておよそ30年前に日本食糧新聞社に入社した平山勝己副社長。FABEXには第1回からすべて携わってきた。ラグビーや野球などのスポーツをネット配信で観戦するのが気分転換という。
――FABEXとはどのような展示会ですか。
「東京で開いたFABEX東京は今年で29回目でした。29年前、東京ビッグサイトがオープンした年に立ち上がりました。ですから東京ビッグサイトの歴史とFABEXの歴史はぴったり重なります。当時、お惣菜やお弁当を持ち帰って家で食べる中食(なかしょく)が日本で普及し始めました。外食でも内食でもない形態。テイクアウトですね。女性の社会進出や単身世帯の増加が背景にあります。中食のジャンルを総合的に扱う展示会として出発したのがFABEXです。1回目の展示会名は『惣菜弁当展』でした。以来、30年近く経過し、今年のFABEX東京には600社・996小間が出展しました。始めた頃は150社くらいでしたから、約4倍に拡大しました」
――中食市場の成長とともに歩んでこられました。
「中食の市場規模は現在11兆5千億円と言われます。30年前ほど前は5兆円くらいでした」
――食品業界を取り巻く現在の景況感はいかがですか。
「食品業界は現在、原材料の高騰に加え、ナフサが入りにくいので食品容器を十分に作れない状況です。影響は容器やトレーを多く使う中食業界を直撃しています。日本は食料自給率が38%くらいで、多くの食品の原材料を輸入に頼っています。世界的な温暖化による干ばつなどの影響で輸入材料が非常に高騰しています。帝国データバンクさんの発表では4月に新たに約4千品目が値上げされます。自給率100%はお米しかありませんが、それに必要な化学肥料はほぼ100%輸入で、それも高騰しています」
――東京で始まったFABEXは関西、中部に広がりました。
「FABEX東京が第15回くらいの時にFABEX関西をスタートしました。14年前です。関西進出の後、7年後には中部に進出しました。様々な食品関連の展示会がありますが、東名阪で開催している展示会はFABEXのみです。なぜ地域を拡大したかというと、来場者データを見ると東京展は関東圏からの来場が8割を占めます。関西展では関西圏の来場が8割ほど、中部展でも同様です。成長著しい中食産業を取り上げる展示会としては、全国的に見ると東京展だけでは網羅できません。大阪、名古屋でも開催することで中食産業の全国的な発展に一定の役割を果たせていると思います」
――それぞれの規模感は。
「昨年のFABEX関西には364社が出展し、中部には265社が出展し、各地域の市場規模にうまく合っているのではないかと考えます」
――FABEX関西に近年、「食品工場スマート化総合展」を加えました。
「FABEX関西では人手不足対策が大きなテーマになっています。これはどの産業、どの地域にもあてはまりますが、中食や外食の業界にとって非常に大きな課題で、とりわけ関西の展示会でこのテーマを扱うことはこれまで少なかったと思います。そこで我々は3年前から人手不足を解消するための設備や機器や機械の要素を採り入れました。たとえば製造、物流に必要となるロボットや自動搬送装置の導入が店舗や外食店のバックヤードからニーズが非常に強い。外食チェーンなどではセントラルキッチンを使って製造し、そこから各店に配りますから、高機能なセントラルキッチンや配送センターが整備されるようになってきました。それと小さな食品メーカーさんであっても食品工場で製造するにあたり人手不足は非常に大きな課題です。ITやAIツールなどを含めて様々な技術で人手を補う流れが加速しています。これらの自動化装置のあつかいに強い日本物流新聞社さんに昨年から協力してもらい、食品工場スマート化総合展にさらに力を入れて取り組みます」
――FABEXは今後どうなりそうですか。
「コロナ禍の時期はリアル開催ができず、緊急避難的にオンラインの商談会を実施しました。でもやはり展示会はフェイス・トゥ・フェイスで製品を目の前にして動く様子を見たり試食をしたりすることがとりわけ『食』には必要不可欠です。カタログでは伝わらず、五感を刺激することで信頼度が高まります。コロナを経てリアル展の必要性が逆に高まったと感じています。それと1社ずつ売り込むのが難しい中小の食品メーカーさんもいらっしゃると思います。FABEXなら会期中に100社くらい売り込んだという出展者さんもいます。展示会はある意味で『営業集約の場』という役割を担うと思いますね」
(日本物流新聞2026年5月15日号掲載)