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けんかっ早いけど人が好き Vol.125 岩貞るみこ氏(自動車評論/作家)

投稿日時
2026/07/23 14:43
更新日時
2026/07/23 14:46

あんまんを、ひとつ

まず、写真をご覧ください。さて問題です。これはなんでしょう。そして、何に使うものでしょう?

知恵と工夫があれば、人生なんとかなる。

私は肉まんが好きだ。蒸気の上がる鍋の蓋を開けたとき、肉まんがぎっしりふかしあがっている姿は、幸せの象徴である。やはり肉まんはふかすに限る。レンチンでは、あの美味しさは出ない。

私はあんまんも好きだ。ゴマの香りがたまらない。甘い朝ごはんが大好きなので、できれば朝、食べたい。しかし一個だけふかすのに大きな鍋を使うのはどうよ? そこで私は考えた。ふかすだけなら小さな鍋に皿を置けばでいいのではないか。よって味噌汁用の鍋に皿を置き、まわりに水をはってふかしてみた。待つこと15分。わくわくしながら蓋を開けると異様な光景がそこにあった。湯気がしずくとなって皿にたまり、あんまんが湯につかっていたのである。当然、下半分が大変なことになっていたが、そんなことにひるむ私ではない。美味しくいただいた。

この検証により(失敗ではない。人生、挑戦だ)、やはりザルが必要だということを認識した。それも直径15㌢程度の小さなものがいい。100均で物色するが、適当なものが見つからない。店内を歩き回るうちに、ザルじゃなくてもいい気がしてきた。なんならステンレスの洗濯ばさみかなにかを置いて、その上にそーっとあんまんを乗せれば十分なのではないか?

そのとき私の目の前で光り輝くステンレスの物体が入った。茶こしである。紅茶の茶こしは取っ手があるのだが急須用にはない。しかも100均の茶こしなら網の部分はちゃっちいので、ぐにゃぐにゃに曲がるのではないだろうか。

ひとつ買って家にもどる。パッケージを開けて手で押すと、おおう、思惑どおりぐんにゃりと曲がるではないか。さっそく加工して翌朝、鍋の中に置き、その上にそーっとあんまんを乗せる。中心を間違えるとふかしているあいだにコケるので要注意だ。鍋にそっと水を注ぎ、蓋をして火をつけ待つこと15分。立派なあんまんがふかしあがった。

この茶こしのいいところは小さいのでしまっておく場所も困らないということだ。これ、特許とれないかしら。あっ、公表しちゃうとだめなのか、残念!

(日本物流新聞2026年7月25日号掲載)

岩貞るみこ(いわさだ・るみこ)

神奈川県横浜市出身。自動車評論のほか、児童ノンフィクション作家として活動。国際交通安全学会会員。最新刊に『こちら、沖縄美ら海水族館動物健康管理室。』(講談社)