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物井工機、リチウム電池火災を検知装置で防ぐ

投稿日時
2026/06/08 16:37
更新日時
2026/06/08 16:41

被害総額約100億円。

これは、2021年度に発生したリチウムイオン電池(LiB)の誤廃棄に起因すると推計される、廃棄物処理施設等における火災事故の経済的損失である。

物井工機が開発中のベールごとLiB混入を検知できる「リチウムバスターベール」

近年、スマートフォンやモバイルバッテリー、加熱式たばこなどに広く使われているリチウムイオン電池は、小型で大容量の電力を蓄えられる一方で、廃棄時の火災が深刻な社会問題となっている。

環境省の調査によれば、23年度に廃棄処理プロセスでLiBを起因として発生した発煙・発火等の件数は2万件を超え、火災事故として報告されたものだけでも8543件に上る。施設が大規模な火災につながった場合、長期間の稼働停止や他自治体への代替処理委託費、多額の復旧費用が発生するなど、社会的損失は甚大だ。

今年4月からはLiB内蔵製品の回収・リサイクルが法的に義務化されるなど、国を挙げた対策も急がれている。しかし、どんなに製品回収の仕組みを整え啓発を行っても、リサイクル優等生である段ボールの回収率が95%程度であることを鑑みると、一般ごみへのLiBの混入リスクを完全に拭い去ることは難しい。そこで注目を集めているのが、廃棄物処理施設など「受け入れ側」での対策だ。

国内でのLiB検知装置開発のパイオニアである物井工機にも問い合わせが増えている。異物検知装置「リチウムバスターX」はX線の透過度の違い(対象物の密度)を利用し、独自の画像解析ロジックによってごみに紛れたリチウムイオン電池を自動で検知する。発売から約3年で既に容器包装プラスチック処理施設などを中心に約20台の販売実績を持つ。

「X線を用いた製品は他にも出てきたが、実際のラインに入れられるかは別。当社は中間処理施設向けに製品開発からライン構築まで手掛け、全国150カ所以上の施設にシステムを納入している。現場に耐える製品の作りこみが差別化のポイントになる」(物井敬幸社長、以下同)

■補助金が導入の後押しに

さらに同社は、コンベヤ上での検知にとどまらず、圧縮梱包されたごみの塊(ベール)をそのまま検査できる「リチウムバスターベール」や、セイホーと協業してリチウムイオン電池の発火を検知して消火剤を自動投入するシステムなどの開発も進めている。

「ベールを破砕するための機械は非常に高額。一度、火災が発生すると取り返しのつかない経営リスクになる場合もある。受け入れ時点での確認手段としてニーズがあるとみている」

令和7年度補正予算では「循環型社会形成推進事業費補助金」が新設された。民間の廃棄物処理施設等へのX線やAIを活用した高度選別機などの導入を支援する制度(最大1/2補助など)であり、今後こうした火災リスクを抑える設備の導入件数が、全国的に増加していくとみられている。

現在、リチウムイオン電池を搭載する製品を供給するメーカー側も、工具で容易に電池を外せる「易解体性設計」の採用や自主回収の強化が急がれている。火災事故を防ぎ安全な資源循環を実現するには、メーカーの「製品設計と回収強化」、消費者の「正しい分別」、処理施設の「検知・防火設備の高度化」という三位一体の取り組みが不可欠となる。

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セイホーが物井工機と共同開発するLiB用消火剤。火災が発生した際に上から落としLiBを包むように密閉する

(日本物流新聞2026年6月10日号掲載)