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扉の先110/フレアオリジナル、人手不足や人件費高騰が追い風

投稿日時
2026/05/26 14:07
更新日時
2026/05/26 14:12

協働ロボットで中小の自動化実現

多数の協働ロボットの納入実績を誇る長野県のロボットSIer・フレアオリジナル。一次産業から半導体関連まで特定の業界にこだわらないオールラウンダーぶりで、様々な製造現場の自動化を支えている。

Linkerbot社のロボットハンド

従来は生産性にこだわる現場から敬遠されてきた協働ロボット。だが、同社の元には自動車業界からのオーダーも相次いでいる。田中陽一郎社長は「自動車関連のお客様のなかには、産ロボに比べて省スペースで自動化が可能な点を重視されるケースも少なくない。タクトタイムの要求は厳しいが、本当に危険な時だけ停止するモードで運用することである程度対応できる」と説明する。

切削加工にも協働ロボットが採用されている。加工トラブル防止のために人が付きっ切りで切りくずを除去していた現場には、切りくずの出方のパターンを分析してロボットの動作に落とし込む手法で課題を解決した。

「コストのかかる画像判別やセンシングに頼らず、シンプルな構成で自動化を実現できた。中小の現場における理想的な自動化の形だと思っている」と田中社長は胸を張る。

近年、大阪と千葉にそれぞれ拠点を設立。また群馬では協力会社との協業による生産拠点の立ち上げなど、全国から相次ぐ協働ロボットを活用した自動化要求に対応できる体制づくりを急いでいる。

同社が急成長を遂げる背景には、3年連続5%超という高水準の賃上げも影響している。「これまで自動化の主な動機は『人が集まらない』という人手不足だったが、最近は『人がいても人件費が払えない』という声が増えている。ロボットは一定の費用を払えば、給料を払い続けるのと同等以上の成果を出してくれる。そう気づいた中小企業が動き始めている」

特に食品業界では、ピッキング・箱詰め・パレタイジングを一貫して自動化したいというニーズが急増。粗利が低い業種だけに、人件費削減の効果が経営に直結するためだ。

■5本指ハンドに注目

来たるロボットテクノロジージャパンにも出展する同社は、自社開発のポータブル溶接協働ロボットと5本指ハンドの2点を提案する。いずれも同社が代理店を務めるDOBOTの協働ロボットに取り付けて展示する。

溶接協働ロボットは溶接トーチとロボットアームを一体化したコンパクト設計で、作業者が運べる手軽さと、マグネットでの取り付けも可能な利便性を追求した。複数箇所を移動しながら溶接しなければならない現場での活用が期待される。

田中社長が特に注目しているのが造船分野だ。「造船景気が非常に良く、引き合いも増えている。造船における溶接は厚物ワークが多く、時間がかかる。これまでは作業者が長時間溶接トーチをかざして作業を行っていたが、協働ロボットなら安全柵無しで効率的な作業を行える。今から本格的に仕掛けていきたい」という。

5本指ハンドについては、「ロボットハンド界のゲームチェンジャー」と評される中国・Linkerbot(リンカーボット)社の製品を展示する。

「最大42軸の関節制御と腱駆動機構で、ピアノの演奏や針に糸を通すような繊細な作業から、重量物の把持までをこなす高い汎用性が特徴。わずか数百㌘の本体重量でありながら数十㌔の耐荷重を持つモデルもあり、できることが大きく広がる。今後はヒューノイドのみならず、垂直多関節ロボットでも活用されるようになる」と田中社長は自信を見せる。

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田中陽一郎社長

(日本物流新聞2026525日号掲載)