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廃車再生パーツ、鈴鹿8耐へ

投稿日時
2026/08/25 16:28
更新日時
2026/08/25 16:31

積層造形で挑む老舗企業

自動車の廃材をハイテク技術で蘇らせ、極限のモータースポーツの舞台へ――。伝統工芸の資材製造を本業とする名古屋工芸は、自動車の廃ヘッドランプからリサイクルした樹脂材料を使い、3Dプリンターでバイクのレース用部品を製作。この再生部品が、7月に開催された日本最高峰の二輪レース「鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)」の参戦車両に採用された。

再生部品を採用したHonda Tochigi Racing

同社が共同開発に乗り出したのは、本田技研工業の四輪開発・生産技術開発の中枢を担う栃木地区の従業員で構成される「HONDA Tochigi Racing」だ。共同開発された部品は、レース車両の前後部に取り付けられる「ゼッケンプレート」。競技中の視認性を確保するとともに、車体の空力性能や軽量化、さらには万が一の転倒時にも耐えうる堅牢さが求められる重要な外装パーツである。

製造工程では、廃車から回収された自動車用ヘッドランプのポリカーボネートなどの樹脂廃材を細かく分解、裁断・粉砕。これを熱で溶かして線状の3Dプリント用フィラメントへと再資源化する材料開発から、実際のプリンターによる造形までを同社が一貫して手掛けた。造形には同社が国内正規代理店を務めるチェコの産業用3Dプリンター大手、PRUSA RESEARCH(プルサ・リサーチ)社製の最新鋭機「Prusa Pro HT90」が使用された。

■積層造形で最終製品に

リサイクルプラスチックの活用は、近年の製造業における環境負荷低減(アップサイクル)の潮流として期待されている。しかし、再生材は強度のバラつきや劣化への懸念から、高い信頼性が求められる自動車などの「最終用途部品」への適用には高いハードルがあった。

この課題に対し、名古屋工芸は鈴鹿8耐という8時間に及ぶ猛暑、強烈な熱と振動の極限環境を実証の場に選んだ。同社先進工芸事業部担当の岡田氏は「極限環境で再生材料の耐久性を証明し、市販車部品や他産業への展開へ弾みをつけたい」と意気込む。

同社は創業37年の歴史を持つ、五月人形の資材(組紐など)でトップシェアを誇る老舗企業だ。一見、最先端技術とは遠い場所にありながら、「伝統の技術に、次の時代のものづくりを重ねる」という理念の下、3Dプリント造形サービス「MIRROR FARM(ミラーファーム)」を展開する。

こちらは自社工場に120台以上の3Dプリンターを保有。従来の試作目的だけでなく、「最終製品」としての小ロット・中ロット量産を低コストかつ短納期で受託している。

「金型代が発生しないため、初期投資を抑えた多品種少量生産や、市場参入初期の製品製造に最適。また120台のプリンターが同時並行で稼働するので、大量の試作や数百個~数千個規模の量産品を短期間で製造できる。用途に応じた表面処理などの後加工にも対応する」(岡田氏)。

今回のレース部品製造は、同社の「材料開発力」と「量産ノウハウ」がいかんなく発揮されたカタチだ。

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造形したバイクのフロントスクリーン

(日本物流新聞2026825日号掲載)