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ジダイノベーター Vol.34/みちびき、データセンター開発をモジュール型で超短期間に
- 投稿日時
- 2026/07/14 09:00
- 更新日時
- 2026/07/14 11:35
15カ月で開発、耐用30年も
「土地がない、電力がない、建てる人もいない」
世界的なAIシフトの流れの中、圧倒的に不足しているデータセンター(DC)を急ピッチで建設しなければならない日本にとって、これは致命的なハンデに見える。しかし、この過酷な制約を逆手に取り、独自のモジュール化技術で次世代のデジタルインフラ構築に乗り出したのが東京大学発のみちびきだ。

左からみちびき 執行役員 Head of Sales本多光樹氏、取締役副社長の田島宏一氏
現在、新たなDCを建設するには4~5年かかるとされる。設計に1~1年半、施工に2~2年半を要するためだ。AIの進化スピードとインフラ整備の時間軸の間には、埋めがたいギャップが生じている。
みちびきが開発したモジュール型DC「MICHIBIKI DC」は、このギャップに真正面から挑む製品だ。独自に規格化した鉄骨フレームに、エントランス、データホール、電気室などDCに求められる各機能をユニット化。これらを工場で製造し、現地ではレゴブロックのように組み上げるプレハブ工法を採用。これにより、各種申請を含めて最短約15カ月からの納品を実現する。
最小構成は受電1㍋ワット、ITロード600㌔ワットの1棟だが、最大3層の積層や多棟構成も可能で、最低約650平方㍍の土地から設置できる。ユニットの数と組み合わせを変えることで、小規模なAI向けから金融機関が求める高冗長性規格(FISC TIER4)対応まで、幅広いニーズに応えられる。
■DCの地方分散化
よく比較されるコンテナ型DCとは、設計思想や用途が異なる。コンテナ型DCはより短納期・低コストで設置できる一方で、日本の建築基準法の適用外となるケースが多く、耐用年数も一般に7〜8年程度にとどまる。対してMICHIBIKI DCは重量鉄骨のラーメン構造を採用。耐用年数は一般の鉄骨造建物と同等の30年以上を確保する。免震構造も標準で備え、1基数千万円から1億円に達する高価なサーバーラックを地震の揺れから守る。
「DCはもはや社会インフラ。早急な整備が必要である一方で、すぐに潰してリプレースするような性質のものではない。MICHIBIKI DCならスピードと堅牢性を両立できる」(同社 取締役副社長の田島宏一氏)
モジュール型であることは、DCの立地問題にも直結する。これまで銀行や企業の機関システム向けに都市部での開発が集中してきたDCだが、用地確保の難しさに加えて、電力確保の点から、地方分散がテーマの一つになっている。
「当社 取締役の江崎浩氏(東京大学 大学院 情報理工学系研究科 教授)の研究によると、電力を都市部に送って計算するより、余剰電力のある地方で計算して、その結果をインターネット経由で送る方が、輸送コストが100分の1になる。政策的な後押しに加えて、製造業などでDCを『足元』に置くニーズは高まるとみる」(執行役員 Head of Sales本多光樹氏)
こうした波を同社は増幅させる。来年4月にはモジュール型DCの1号案件(福岡県久留米市)の開発が完了する。加えて、今年秋には既存の工場や物流倉庫の空きスペースに設置可能な「パネルタイプ」も投入予定。さらに、日本と同様に用地確保などに課題のあるシンガポールやアフリカなどで活用も見据える。制約から生まれたインフラ技術が、国境を越える日はそう遠くないかもしれない。

(日本物流新聞2026年7月10日号掲載)