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産業潮流

スポーツ産業、市場規模13.7兆円

投稿日時
2024/11/25 10:51
更新日時
2024/11/25 10:58

GDP9.5兆円、コロナ禍以降に急回復成長

日本経済において存在感が高まっているといえる―。隠れた成長産業として注目度を増す「スポーツ産業」の2021年の経済規模とGDPを、日本政策投資銀行が主体となって推計し、先ごろ公表した。スポーツ産業市場はスポーツ活動をはじめ、スポーツ関連流通、教育、食品・飲料、医療、施設建設など裾野が広く、同銀はヨーロッパで開発され各国が採用する推計手法をもとにそれぞれの内訳項目を算出加算し、市場規模を弾きだした。

日本政策投資銀行などが調査

それによると、スポーツ産業の経済規模は21年時点で約13・7兆円とコロナ禍でダメージを受けた20年の約12.5兆円から急回復し、統計を取り始めた11年以降で最大となった。規模的には電子通信業や介護産業(ともに約15兆円)にほぼ比肩し、国が目標(KPI)に掲げる「2025年に15兆円を目指す」を指呼の間に捉えつつある。

また同年のスポーツGDP(スポーツ部門、投入部門、流通部門の計=生産者価格で算出)は約9.5兆円で前年から7000億円ほど伸び、コロナ禍前の19年水準に並んだ。

スポーツGDP約9・5兆円の内訳として、スポーツ部門が約6.3兆円、流通部門が約1.6兆円。投入部門約1.6兆円だった。このうちメインのスポーツ部門は、スポーツ活動(施設運営、競輪競馬など)が3割強を占め中心になった。

推計とまとめにあたっては欧州の手法(SSA=スポーツサテライトアカウント)を取り入れつつ、26項目にまとめた欧州SSA分類を11産業に集約するなど、「実に多種多様な産業が直接・間接的にスポーツ産業を構成」するなか、細かく定義を決め、かつ複雑な計算を用いて慎重に推計。栄養補助食品などについては、アンケートを行うなどしてスポーツシェアを確定させたという。

この調査はスポーツ産業に関し主に「生産の側面」から市場を捉えており、リポートは生産と同時に「消費」「雇用」からの統計的アプローチも求められるとし、今後はスポーツ産業をより複眼的に可視化していく構え。

なお総務省推計のスポーツ関連消費額統計を見ると、日本政策投資銀行がレポートのなかで「調査項目は限定的」と記している通り、額の水準でかなりの違いがあるが、やはり20年以降、急速に回復している(グラフ2参照)。

いずれにせよスポーツ産業の伸びしろは今後大いにあると言えそうだ。

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(2024年11月25日号掲載)