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産業潮流

物流機器、1兆円規模の産業に

投稿日時
2026/08/25 15:00
更新日時
2026/08/25 15:06

~統計資料+αで見える市場の勢い~

もうずいぶん前から 「物流」が幅広い業種において上位の経営課題となっている。加えて物流の2024年問題や、今年4月の改正物流効率化法の全面施行がダブル・トリプルのインパクトとなり、自動化や省人化を大胆に導くための物流改革に弾みがついている。そうしたなか、物流システム機器市場も近年、著しい伸びが見られるようになった。推論になるが、物流システム機器は「1兆円市場」に達したと見立てていい状況だ。

物流システム機器市場の統計は、(公社)日本ロジスティクスシステム協会と、(一社)日本物流機器システム協会がまとめる「物流システム機器生産出荷統計」が長年指標となっている。タイムラグの関係から前年25年度の統計は来月9月公表され、いま分かるのは24年度までとデータはやや古いものの、過去最高の総売上高を連続更新し、全体として順調なトレンドにあることが一目瞭然だ(下のグラフ参照)。

細かく言えば、生産財・資本財の多くは2018年度に売上のピークをつけ、コロナ禍で落ち込んだ後、昨今は18年の頂きを超えた業種、ほぼ回復した業種、まだ回復途上の業種と大きく3つに分かれる。そんななか物流システム機器の総売上高は22年度に18年度のピーク(5859億円)をいち早く更新し初の6000億円台を記録。22年度6139億円、23年度6330億円、24年度6570億円とその後も青天井を駆けてきた。

■実質1兆円マーケット?

いや、実際はそれ以上に市場のパイは成長していると言えそうだ。

同統計は産学の専門委員会で調査をし、カバーリッジも90%以上と高いと評されてきたが、調査は主要な物流機器メーカーを対象にしており、それ以外のいわば異業種などの売上・生産状況は掴みきれていない面がある。このことは複数の関係者が過去から認めてきた。実際、調査対象機種に上がる物流機器関係のコンピュータや、WMS(倉庫管理システム)はコンピュータ関連企業などが一定数を担っており、統計調査資料には毎年「カバレッジが充分でない」と明記されている。

同様、調査対象である無軌道台車システムについても、AGVやAMRは電機、重工、総合機械、外資系ベンダー、スタートアップなどと多様なプレーヤーが商品を提供しており調査対象外の売上実績も多い。他方でも、調査対象になっていない地場メーカーが棚などを物流機器として納めているケースがかなりある。

以上について業界関係者に問うたところ、「この統計に含まれない数字が多分にあることは承知している。額よりも増減の推移を参考にしてほしい」とコメントがきた。続けて記者が「エビデンスはないが、あれこれ推定すると既に1兆円に達しているとみていいのでは」と聞くと、「その程度までなら既に実現していると言えるでしょう」と返ってきた。

■24年度は自動倉庫、台車系が好調

1兆円を超えるか超えないかは、業界にとって大きい。いわば国内の準主要産業にあたるかどうか。1兆円産業とそれ未満では政策の力の入れ具合も違ってくるなどと、過去からささやかれてきた。

物流システム機器生産出荷統計統を見ると、海外向けが23年度、24年度と連続して急増加しており、海外向けの8割を占める3つの機種(大分類)である「台車系」「自動倉庫」「コンベヤ系」ともに24年度の海外向けは2ケタの伸びを示した。また海外のクリーンルーム向けの伸び率(前年度比19.0%増)も注目され、日本製QCDの高さに対する評価が海外で高まっていることも憶測される。

こうした実績面も加味すれば、1兆円市場に成長するこの業界に対し、海外輸出支援強化などの政策面の動きも期待できるのではないか。

◇――◇

24年度のマーケットを機種別(系統別)に同統計から振り返ると、売上金額のトップは台車系の1820億円(前年度比9.7%増)。2位が自動倉庫で1471億円(同11.4%増)。対して3位のコンベヤ系は1447億円(1.4%減)と若干落ちたが、パレット搬送用コンベヤなどは堅調だった。

このようにわずかなまだら模様はあるが、省人化・省力化ニーズを背景に「物流システム機器の需要が引き続き高い水準にあることが想定される」(同統計資料より)という。持続可能な物流の構築に向け、この業界の果たすべき役割は一層高まりそうだ。



(日本物流新聞2026年8月25日号掲載)