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山善、メーカー向け決算説明会を開催

投稿日時
2025/06/06 09:00
更新日時
2025/06/06 09:00
【写真左】住友電気工業の井上治社長
【写真中央】山善の岸田貢司社長
【写真右】山善の佐々木公久副社長

今後3年は価値の創造期

山善は519日、主力仕入先メーカーを対象に決算概要と新年度の経営方針などを説明する「2025山善親交会」を帝国ホテル大阪で開いた。299社の経営トップら302人が参加した。

挨拶に立った山善の佐々木公久副社長は、新中期経営計画「PROACTIVE YAMAZEN 2027」が始まったことを紹介。「前中計で各事業部の連携強化を図った。新中計でもさらに加速させ、加えて山善の強みである縦と横、事業部と支社の関係を強化する。各事業部の商品戦略と各支社の地域戦略をマッチングさせ、市場開拓を進める。固定観念に縛られず新市場の開拓にも邁進する」と語った。

岸田貢司社長は、253月期の決算(連結売上高は前期比1.8%増の5161億円、同営業利益は3.6%減の95億円、同純利益は20.9%増の78億円)を説明。「機械事業部は逆風が強かったが、自動化・省力化が中心の産業ソリューション事業部は売上を伸ばした。海外事業も5.8%伸びている。最も伸びが大きい住建事業部の売上は786億円(同9.4%増)。海外の仕入れが多い家庭機器事業は環境的に厳しかったが、1000億円をキープした」と総括した。

今年度にスタートした中期経営計画では最終年度(283月期)に売上高6000億円、営業利益160億円、自己資本利益率8.0%を目指す。「前中計は機能の拡充期、今後3年は価値の創造期だ。成長ドライブへの投資と卸売ビジネスの強靭化を進める。エンジニアリング機能を拡充した上でお客様の目線に立った山善ならではの営業力を再度確立する。オーガニックグロースに関わる成長投資額としていったん150億円を掲げるが、150億円にこだわらず成長が見込めるビジネス機会に躊躇なく今後3年で投資したい」(岸田社長)。海外事業部の新設や縦(事業部)と横(支社)の組織の連携強化、ICT本部の設置にも触れた。

セグメント別の戦略も語られた。「機械事業部は半導体・医療・航空宇宙を含めた新市場を開拓し、新たに立ち上げた産業機械事業では各地域の溶材商様と板金・鍛圧市場を掘り起こす。産業ソリューション事業部はメーカーと協業した商品開発を強化し、新たな市場を販売店様と共に作り上げる。ツール&エンジニアリング事業部は輸送関係など新市場の開拓を進め、物流体制をより強化してエリア需要に対応した在庫を持つ物流拠点『デポ』を活用。海外生産財事業はトルコなどEMEA(欧州、中東、アフリカ)への足掛かりをつけ、インドに11カ所の拠点を構築し125人の従業員を150人体制にする。TFS支社は技術サポートを強化しヒューマノイド事業も進める。住建事業部はビジネスサポート室が営業部と連携しユーザーや自治体への補助金の支援を推進。家庭機器事業部は好調な山善ビズコムの会員数を今期中に19万人から30万人に、売上を30億円に増やすアグレッシブな計画を立てている」

■成長軌道へ

出席メーカーから住友電気工業の井上治社長が代表挨拶を行った。「新たな関税で世界経済が大変な混乱に見舞われており、その影響を強く受ける日本経済は今後も難しい状況が続くと覚悟しなければいけない。山善さんは当社にとって切削工具販売における最大の特約店で、強固な信頼関係でともに事業を発展させてきた。長期的には航空機、半導体などの需要拡大が見込まれ、デジタル化や環境対応による設備投資も追い風になる。新たな事業の拡大を見据え、今後もともに新たな製品・技術を社会に広め、成長軌道を実現していく」

懇親会は山善・長尾雄次会長の挨拶に続き、アマノの山﨑学社長の発声で乾杯。タカラスタンダードの小森大社長の中締め、山善・坂本伸二上席執行役員の挨拶で閉会した。

(日本物流新聞2025525日号掲載)