設置面積従来比10分の1
「同時6軸ナノマシン『NIC-74S6-N6』は、従来機と比べ10分の1の設置スペースです」。10月6日にナガセインテグレックスが開いたJIMTOF2022新製品発表会。担当者の口から出たのは驚きの数字だった。
同社は昨今、「IGTARPデザイン」という新たな設計手法を推進している。既存の発想にとらわれず機械の理想構造をイチから追求するもので、曲線を多用し剛性や省スペース性を飛躍させたマシンをすでに複数上市している。同社が今回のJIMTOFに出展する7機種のうち、6機種はこのIGTARPデザインを採用したもの。冒頭のNIC-74S6-N6もその1台だ。
「今回は4年ぶりのリアルJIMTOF。4年前とフェイズが変わりました」と長瀬幸泰社長は言う。「我々が提案してきた『超精密』は業界に定着し、それ自体に真新しさはありません。今回展で我々が重視するのは、超精密研削でいかにお客様に利益を上げていただくかです」
出展コンセプトは「異次元・異空間・異形態」。超精密研削を高効率に、非熟練者でも行えるようにすることでこれまでと次元の違う研削、すなわち「超越精密」を実現するという。出展機はIGTARPデザインなどで剛性や熱変位耐性を高めており、いずれも超精密研削と高生産性を両立する核となるマシンだ。
なかでも同時6軸制御ナノマシン「NIC-74S6-N6」は、同社がフラッグシップ機に位置付ける新機種。刃先の位置が変化しない独自の旋回工具軸(特許出願中)を採用し、複雑な自由曲面上にサブミクロン以下の形状精度、シングルナノ以下の面粗さの微細加工を施せる。IGTARPデザインにより、アンモナイトのような楕円形となり動剛性は従来機比2・25倍に。従来機で必要だった恒温室の代わりに機械本体を温調カバーで覆い、設置面積は2.7×1.9mと、従来機(同10×7.5m)と比べ約7%程度まで抑えた。
他にも、チャックサイズ1200×600ミリの中型クラス高精度平面研削盤「SGX-126」を披露。IGTARPデザインを採用し、曲線を取り入れ剛性を上げつつ省スペース化した。大型イメージが強い門形機ながら、設置面積をシングルコラムの従来機と比べ半分に。ベッドを3点支持構造とし、加工点の静剛性を従来機比2倍、動剛性を1・25倍に向上させ、このクラスで一般的な砥石軸モータ出力(7.5kW)の倍となる15kWの高出力モータを標準搭載して生産性を高めている。
機械以外に「業界初」という研削支援アプリ「GRINDROID」も披露。加工要求仕様を入力すると推奨加工システムを推奨順に複数提示するもので、こうしたソフト提案にも力を入れる。
(2022年10月25日号掲載)