自宅用購入でも「売却前提」が過半数
- 投稿日時
- 2026/09/14 09:00
- 更新日時
- 2026/09/14 09:00
維持費上昇が売却の後押しに
LIFULL HOME’S調べ
東京圏のマンション市場で、住宅を「終の住処」ではなく「資産」と捉え、将来の売却を前提に購入する実需層が過半数に達した。不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)」が発表した意識調査によると、自宅用にマンションを取得した人の51・9%が「いずれ売却しようと思っていた」と回答した。相場高騰による含み益拡大を背景に、短期間で売却して利益を確定させる「資産運用型」の保有スタイルが定着しつつある。
調査は自身や家族の名義・居住歴があり、過去3年以内に東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の主要市区)でマンションを売却した25~69歳の男女507人を対象に実施した。
売却物件の入手経緯は「自宅用に購入した」が79.5%で最多だったが、「投資目的で購入した」も36.2%に上り、前回調査(2025年2月実施、24.1%)から12.1ポイント増加した。
注目されるのは自宅用購入者の意識変化だ。購入時の所有意向で「いずれ売却しようと思っていた」が51.9%となり、「ずっと住もうと思っていた」(32.1%)を大きく上回った。前回(45.4%)から拡大しており、実需層であっても「出口戦略」を見据えて取得するスタイルが主流になりつつある。 所有期間の短縮化も鮮明だ。居住期間は「1年以内」が24.0%で最多となり、5年以内に売却した人は計60.5%を占めた。資材高や人件費上昇に伴う新築価格の急騰が中古相場を押し上げる中、含み益を早期に確定させ、次の住み替えや資産形成につなげる動きが活発化している。
売却のきっかけ(複数回答)は、「不動産価格が上がっていたので高く売れそうだと思った」が33.5%(前回25.3%)で最多となり、高値感をとらえた売り抜け動機が強まった。
今回特徴的なのは、2位に「維持費の高さ」(19.9%)が急浮上した点だ。前回は12.6%で7位にとどまっていた。居住中に管理費や修繕積立金を「高い・高すぎる」と感じていた割合はともに56%前後に上る。管理費などの値上げが相次ぎ、ランニングコストの負担感が売却への後押しとなっている。
売却益(売却額マイナス購入額)の状況は、全体の71.0%が「プラスになった」と回答し、前回(62.1%)から8・9ポイント増加した。利益幅は「+1000万円以上」を得た人が47.0%に達し、最多回答は「+2000万円以上」(19.0%)だった。住宅ローンが残っていた人でも95.4%が「売却代金で完済できた」とし、価格高騰が手元資金拡充に直結している。
■新築高騰が中古を牽引、譲渡益税に注意も
売却プロセスにおける売り手の意識も変化している。売却時に「もっとこうすれば良かった」と感じたポイントは、「価格や担当者を、複数の不動産会社でしっかり比較する」(31.6%)が1位となった。次いで「不動産会社に任せきりにせず、自分でも情報収集する」(31.0%)、「不動産会社の言うことが正しいかどうか判断できるようにする」(30.1%)が続いた。
前回の1位だった「余裕のあるスケジュールを立てる」に代わり、仲介業者の比較や相場情報の把握など、売り手自身が主体的に関与することを重視する回答が上位を占めた。含み益が大きい局面だからこそ、より好条件での売却を目指す意識が高まっている。
背景について、LIFULL HOMEʼS総研フェローの中山登志朗氏は、新築価格の急騰が中古市場に需要をシフトさせている構造を指摘する。同サービスのデータによると、東京23区のファミリー向け中古マンションの平均掲載価格は、2020年1月の4945万円から2026年7月には1億1846万円へと2.4倍に急増。2026年1~7月の同新築平均価格(1億5243万円)より中古が22.3%安価なため、需要が流出して中古相場を牽引している。
2000年代に大量供給された築20年前後の物件が売却適齢期を迎えており、ライフステージの変化と相場高騰が相まって売却を促している。
一方で中山氏は「査定価格は売却想定価格に過ぎず、成約までの時間や住み替え先の確保など慎重な計画が必要だ」と指摘。「売却益には譲渡所得税が課される。購入から5年以内の自宅売却では特別控除後の売却益に対し計39.63%、5年超でも計20.315%が課税される」と指摘する。

(日本物流新聞2026年9月10日号掲載)