同社初のバリ取り専用機に注目
ブラザー工業は10月3日、刈谷工場内のブラザーテクノロジーセンターにおいて、顧客向けの新製品発表会を開催した。
間近に迫るJIMTOF2024でも注目を集めそうなのが、同社初となるダイカスト製品のバリ取りに特化した専用機、デバリングセンタ「DG-1」だ。ダイカスト部品のバリ取りにおいては、いまだに人手に頼る現場が多い。だが、職人の高齢化や人手不足により作業者の確保が難しいのが現状。またロボットを使ったバリ取りシステムも多々存在するが、プログラムの作成やティーチングに時間がかかるという難点があった。
同社が開発した「DG-1」は独自の加工経路の自動生成やタッチパネルでの経路補正、プログラムの自動変換などにより、NCプログラムに関する知識が無くても、かんたんに短時間での工程の立ち上げを可能にする。
「特に当社独自の機能として、加工経路の自動生成機能により、移動方向や速度の直感的な操作が可能なティーチングコントローラーを使いながら、代表点を設定するだけで、加工経路を自動的に生成できる。また、自動生成された加工経路は、タッチパネルで修正したい箇所を選択し補正量を入力するだけで、経路や条件を修正できる。さらに移動速度や力を抑える低トルク機能により、ミスが発生しても機械が異常な接触を検知して停止するため、故障のリスクも減らせる」(同社)
通常ロボットや NC加工機によるバリ取りは、加工経路を作成する際、ティーチング作業や NCプログラム補正を繰り返すため時間がかかる。「DG-1」はこれらの作業が不要になるため、加工の立ち上げ時間を最大約 70%短縮できるという。
移動量はX軸500㍉、Y軸300㍉、Z軸275㍉。中型クラスのダイカスト部品の加工に向く。またATC(6本仕様)の搭載で、バリの形状に合わせたバリ取り工具の選択が可能。また、開閉方式のカバーを採用で、切粉が工具室に侵入するのを防ぐ。
このほか、ベストセラー機のコンパクトマシニングセンタ「Sシリーズ」3機種、「Uシリーズ」1機種を展示。SシリーズはそれぞれY軸とZ軸の移動量を拡大。主軸ベアリング径を拡大し、剛性を向上させた。UシリーズもY軸、Z軸の移動量を拡大し、最大径500、高さ320㍉の広い治具エリアを実現。中物ワークの多面加工などに向く。
(日本物流新聞2024年10月25日号掲載)