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(一社)微細加工工業会 会長 関 聡彦 氏【2026年新春メッセージ】

投稿日時
2026/01/27 08:00
更新日時
2026/01/27 13:29

「0.001mmから1mm」に日本のモノづくり凝縮

新年あけましておめでとうございます。会員各位ならびに、日頃より当工業界の活動にご理解とご支援をいただいている皆様に、年頭にあたり一言ご挨拶申し上げます。

私はこれまで、微細加工という分野の現場に長く身を置いてきました。その中で強く感じているのは、「0.001mmから1mm」という極めて狭い領域に、日本のものづくりの本質が凝縮されているという事実です。図面上では一見わずかな差であっても、実際の加工現場では、素材の癖、工具の状態、加工順序、温度や湿度といった無数の要素が結果を左右します。そうした条件を一つひとつ見極め、最終的に形にしていく力こそが、私たち微細加工に携わる者の誇りであり、価値だと考えています。

一方で、近年は製造業全体を取り巻く環境が大きく変化しています。デジタル化や自動化が進み、効率や再現性が強く求められる時代になりました。その流れ自体は否定すべきものではありませんが、私は、微細加工の価値は「単に精度が出ること」ではなく、「なぜその精度が必要なのかを理解し、最適解を自ら考え抜く力」にあると感じています。現場で培われてきた経験や勘、試行錯誤の積み重ねは、簡単に置き換えられるものではありません。

だからこそ、微細加工工業界として果たすべき役割は、単なる技術紹介や情報発信にとどまらないと考えています。会員同士が率直に意見を交わし、成功も失敗も含めて共有できる場をつくること。さらに、若い技術者や学生に対して、「微細加工は地味だが面白い」「ここには挑戦する価値がある」と実感してもらえる機会を用意することが重要です。技術は人がつくり、人が受け継いでいくものだからです。

また、微細加工は単独で完結する技術ではありません。素材、設計、評価、組立といった周辺分野と結びつくことで、初めて新しい価値を生み出します。私は、業種や規模の垣根を越えた連携の中に、次の成長の芽があると考えています。当工業界としても、こうした「つながり」を意識した活動を、これまで以上に大切にしていきたいと思います。

本年も、現場に根ざした視点を忘れず、微細加工という分野の可能性を一歩ずつ広げていく所存です。会員の皆様とともに考え、ともに悩み、ともに前に進む一年にしていきたいと願っております。

本年が皆様にとって実り多き年となることを祈念し、年頭の所感といたします。



(2026年1月27日掲載)