オークラサービス、3種の段ボール開梱システム開発
- 投稿日時
- 2025/05/16 09:00
- 更新日時
- 2025/05/16 11:54

リニューアルしたロボットショールームに実機展示
パレットに無造作に置かれた缶ビールの段ボールカートンを協働ロボットが掴み、コンベヤへ載せる。流れてきた箱の天面に別の協働ロボットがスクレーパーを差し込み、フラップをぺろりとめくってさながら人のように開封してしまった。器用だなと感心していると、間髪入れず同じロボットが中の缶ビールを4本まとめて吸着し、ストッカーへ移載。12缶溜まるとさらに別の協働ロボットがまとめて贈答用の箱に詰め替えた。流れるような仕事だった。
お中元の定番・ビールギフトの詰め替え作業である。「食品工場もメイン工程は自動化が進むが、季節で需要が変わる贈答品は取り残されていた」とオークラサービス・設計施工部設計調達グループの岡田雅生氏は言う。こうした「段ボールを開いて中身を取り出す」ニーズが今、同社に多く寄せられている。同社も開発を加速させ、このほど冒頭の段ボール開梱システムと贈答品詰め替えシステムをリニューアルオープンしたショールーム(兵庫県加古川市)に設置した。
同社の主力は自社製の産業用ロボットを用いたパレ/デパレタイズシステム。だが2022年に開発した段ボール開梱ロボットが、守備範囲を広げる転機となった。刃物で箱の4辺をカットし、天面を取り除いてそのまま中身も取り出すシステム。紙粉をださないよう回転数や形状を調整した独自のカッターと切れ味を保つ研磨機も開発した。
とはいえ安全上カッターを忌避する現場もあるため、冒頭のスクレーパーを使う方式と、段ボールの底面を吸着して開き、側面にも切込みを入れて合計2面を“破りあける”方式の開梱システムも開発。段ボールが膨らむほど充填されたチョコレートは2面を破らないと取り出せないため破りあけ方式が有効だ。「市場の要望に応えて開梱方式と協働ロボットのアプリケーションを充実させた。仕向け先は食品が多いが様々な業界の段ボールに対応できる。今後はデパレタイズに加え、箱を開き中身を取り出す作業まで一括したラインを提案する」(岡田氏)
設計施工部設計調達グループの岡田雅生氏。隣の協働ロボットシステムはスクレーパーを使った段ボールの開梱と中身の取り出しを1台で担う
自動化ラインはコンベヤや安全柵、架台など様々な周辺設備が必要だが大手マテハンメーカ―が親会社の同社はほぼすべてを内製し、合理的なコストで提供できるのが強みだ。「ハンドを含めメカニカルな部分を自社設計・製作で賄える点が、他のSIerと大きく違う」と設計施工部の吉武寛明部長は言う。「開梱に付随するニーズは食品が多い。だが業界問わず需要はあるはずで、ショールームの実機展示をきっかけに掘り起こしていく」と語った。
なおショールームには3種類の段ボール開梱システムと、贈答品詰め替えシステム、省スペースパレタイズロボット「EasyPAL」を新たに展示する。
ショールーム全景
(日本物流新聞2025年5月15日号掲載)