ニデック、シナジー多い牧野フライス製作所にTOB
- 投稿日時
- 2025/02/21 16:58
- 更新日時
- 2025/02/21 16:59

買収候補3社、直販志向一切ない
ニデックの西本達也副社長が2日10日、日本物流新聞の単独インタビューに応じ工作機械事業のラインナップや、販売の地域や業種が偏らないようにするリスク分散戦略に合致する買収候補が3社あったことを明かした。門形5面機、横中ぐり盤と放電加工機などのラインナップを補完し、今後重視する東南アジアや中国市場へのシナジーが高いと判断。牧野フライス製作所(以下マキノ)へのTOB(株式公開買い付け)に踏み切った背景を話した。
モーターや減速機、プレス機事業などで競合メーカーの買い控えによるディスシナジーの可能性は認めたものの「これまでのM&Aでも、一部買い控えの例はあったが、誠意を込めた説明で大半は戻ってきた」としたうえで「ニデックグループ内および親密顧客からの需要で減少分は十二分に補える」との見解を示した。
同社工作機械部門が直販体制へ移行していくことはありえないとし、グループ会社の販売店、販売代理店施策に介入する考えはないとした。
「三菱の名前が使えなかったマシンツールを除き、社名やブランド名は維持してきた」とし「ニデックを頭につける可能性はあるが、牧野フライス製作所の社名・ブランドは維持する」とし、経営への関与も最低限に留め、独自性を維持するとした。
中国金型工業協会の懸念発表をうけ、中国に飛び、金型業界の主要団体(浙江省模具行业协会)と2月8日に直接会談。「我々が過去に実行してきたことと、M&A及び買収後PMIの方針について誠意を持って話せば分かっていただける」とし、書面でのやり取りが続いていることを念頭に「マキノさんの経営陣に直接ご説明させていただく機会をもう少し頂ければ」と語った。
なお、業界内では「きめ細やかなフォロー体制が維持できるのか」との心配の声は多く聞かれ、一社100株ずつ、株式を購入しマキノの買収への反対の意思を示そうとの兆しも出ているようだ。事前接触が一般的だった日本のM&Aにおいて、「いきなりTOB」に踏み切ったハレーションが広がっている。
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ニデック 副社長執行役員 機械事業本部長 西本 達也 氏 インタビュー
(日本物流新聞2025年2月25日号掲載)