国際物流総合展2025/第4回 INNOVATION EXPO
- 投稿日時
- 2025/09/30 09:09
- 更新日時
- 2025/09/30 09:13

進む自動化、進むデータ活用
物流業界最大級の展示会「国際物流総合展2025 第4回 INNOVATION EXPO」が9月12日までの3日間、東京ビッグサイトの東展示棟を使って開催された。国内外から486社・団体が1900ブースで最新製品・ソリューションを披露。前回展を上回る5万2856人が足を運んだ。
最新のマテハン機器や物流ソリューションが並んだ会場で、来場者がひときわ長く足を止めていたのがデータ活用に関する提案だった。
「ここ数年、自動化機器やソリューションの現場実装が進んだことで、取得したデータをどう活用するかにも関心が集まり始めている」
そう話すのは、倉庫の作業データを集約・可視化できる倉庫最適化システム「Optify(オプティファイ)」を初披露したオカムラだ。OptifyはWMS(倉庫管理システム)とBI(ビジネスインテリジェンス)機能「Opt BI」を融合したソリューション。作業進捗のリアルタイムでの可視化や、AIによる作業予測によって、属人的な判断に頼らない効率的な現場運営を実現する。
「従来、取得したデータを分析・活用するには、WMSなどのシステムからデータを逐次抜き出して、BIツールやExcelシートに流し込む必要があった。Optifyはそれらが1システムになっているため、現場の状況を即座に把握できる」(同社担当者)
マテハン機器メーカーである同社だからこそ、Optifyは機器連携にも強みがある。将来的には他社製品との接続も視野に入れる。
オカムラはWMSとBI機能を融合した「Optify(オプティファイ)」を披露した。分析ツールの画面イメージ
物流関連の情報システムを手掛けるインフォセンスも、BIツールによる見える化機能を標準搭載したWMS「ZIZAIA WMS2.0」を披露した。従来のWMS機能を継承しつつ、見える化機能を大幅に拡充した。
「分析結果はダッシュボード形式で視覚的にわかりやすく表示される。分析内容を直感的に把握でき、現場担当者が具体的なアクションにつなげやすい」(同社担当者)
管理範囲を物流センター内から工場まで広げた点も特徴的で、原材料や製造された半製品も1システムで管理できるようになる。モノの流れを上流から下流まで一貫して捉えられるため、「物流センターの在庫がなくなりそうになった段階で即座に生産量を高めるなど、欠品による機会損失を防ぐことも可能になる」という。
■物流版AIエージェントも
「見える化」のハードルをぐっと下げるのがKURANDO。庫内作業のデータを取得する「Logimeter」、データ共有や分析を担う「Logiscope」、データを使った計画策定などを行う「Logiboard」からなるクラウドサービスを提供する。最小月額1万円~、最長2カ月の無料トライアル、現場に必要なタブレットは無料貸出と手厚い。
「DX化のスタートはデータを取得すること。いざ取り組もうと思ったら数百万円かかるのではスタートラインに立つことすらできない。機能だけでなく提供方法も割り切り、導入ハードルを下げている」
実際、2021年のサービス公開から導入数は右肩上がりで増え、利用中のセンターは500以上。特に食品流通分野では「大手はほぼ全ての企業で活用いただいているのでは」という。
一方、データ活用の新機軸を提示したのがセイノー情報サービス。物流業界初のAIエージェント「ロジスティクス・エージェント」を披露。「見える化」の先のデータ活用の未来を示した。
近年、ロボットなどの自動化機器の活用で、「実際に物を動かす運用作業」の効率化は進みつつある。一方、そうした現場の「計画・運営管理」に関わる業務負担は、従業員やドライバーの労務管理、異常気象対応など複雑かつ増大傾向にある。AIエージェントを活用することで、「意思決定のサポートや自動化に役立つ」とし、30年をめどに「汎用化・民主化」を目指す。
(日本物流新聞2025年9月25日号掲載)