サポート強化と加工能率向上
ヤマザキマザックはファイバーレーザー加工機に搭載するレーザー発振器を、購入品から自社での経験を生かし切断用に最適化された自社ブランド品へ切り替える。ビームを加工に向く形状に最適化することで加工の能率を高め、加工品質と生産性の向上につなげる。クラウドサービスによるリモート診断にも対応するなど保守体制も強化。すでに一部機種で切り替えを始めており、搭載機種を順次増やしていく考えだ。
近年、従来のCO2レーザー加工機に代わりファイバーレーザー加工機の導入が増えている。同社はこれまでファイバーレーザー加工機の発振器をメーカーから購入して加工機に取り付けていたが、故障時にはメーカーへ修理を依頼するなどダウンタイムが長くなる可能性があった。自社の経験を生かし切断用に最適化されたファイバーレーザー発振器「Mazak SmoothCUT」へ切り替えることでサポートを自社で行えるようになり、オプションで最長10年までの延長保証が可能に。クラウドサービス「Mazak iCONNECT」にも対応し、異常時は自動でサポートセンターにつながり遠隔で加工機の状態を診断できるようになる。
ビーム形状も加工に最適化した。一般販売されるファイバーレーザー発振器は多くが溶接用途と切断用途で共通だが、Mazak SmoothCUTは切断に適した鋭いビーム形状で高品質な加工が可能に。昨今は海外メーカー製の安価なレーザー加工機も増えているが、生産性の向上と世界中に展開する同社のサービス網を活用した保守体制の強化で差別化を図る。堀部和也常務執行役員は「様々な工業製品がコモディティ化を指摘されるが、本当に困った際のサービス対応が差別化になる。お客様に安心を提供したい」とする。
すでに2Dファイバーレーザー加工機の入門モデル「STXシリーズ」や、小径パイプ加工向けのレーザー加工機「FT-150 NEO」などで発振器を自社ブランドへ切り替えた。堀部氏は「CO2レーザーをファイバーレーザーに置き換える際、費用面でもサポート面でも安心いただける。レーザー技術は日進月歩。さらに用途が広がるだろう。その観点でもレーザー技術を自社に取り入れることは重要だ」と語った。
(日本物流新聞1月25日号掲載)