京セラ、海洋データ取得するスマートブイ
- 投稿日時
- 2025/01/24 09:00
- 更新日時
- 2025/01/24 09:00
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協業で4月に有償トライアルへ
京セラは長崎大学の潮流発電技術と自社のIoT技術を組み合わせた「エナジーハーベスト型スマートブイ」を開発した。天候に左右されない潮流発電システムで、流速や塩分濃度、水温など様々な海洋データの安定的な取得を可能にする。日東製網との協業でブイの設置・保守・回収を行い、2025年4月から有償トライアルサービスを開始する予定だ。
気候変動や海洋資源の管理が国際的な課題となる中、海洋データの正確かつ安定的な収集の重要性が高まっている。特に海洋環境のリアルタイム監視を実現するIoT技術は、漁業の効率化や海洋保全、防災対策に寄与すると期待されている。
しかしブイ等でのデータ収集には電力供給や保守の負担が大きく、長期運用や離島・沖合での利用には多くの制約があった。京セラはこれに対し、潮流を活用して発電・蓄電することで安定的に稼働し、効率的な海洋データの収集を可能とするエナジーハーベスト型スマートブイを開発した。
京セラの通信モジュールを搭載し、データを5分おきに送信。内部センサーで機内温湿度・加速度・モーター回転数・バッテリー残量・GPS 位置情報などの情報を取得し、外部センサーにより流速・流向・塩分濃度・クロロフィル濃度・ 濁度・DO(溶存酸素)・水温などのデータを取得する。顧客は海の状況をリアルタイムで監視できるクラウドサービスを利用でき、異常発生時のメール通知が可能だ。
長崎大学の坂口大作工学部長/工学研究科長は「近年、赤潮による養殖魚への被害が発生するなど、海洋データの把握への需要が高まっている。長崎大学では橘湾の赤潮予測を目的に、本開発品を天草市五和町沖に設置。赤潮予測のために必要な基礎データ取得などに活用し研究を行っている。本開発品は、漁業や海洋環境保全におけるさまざまな課題解決や、多岐にわたる分野での貢献が見込まれる」とコメントしている。
(2025年1月25日掲載)