黒田精工、創業100周年を祝賀
- 投稿日時
- 2025/10/10 09:00
- 更新日時
- 2025/10/10 09:00

「身の丈成長」で次の100年へ
黒田精工は9月5日、創業100周年を記念した「創業百周年記念祝宴」を都内のホテルで開いた。取引先、金融機関、業界団体、OBら約400人が参集。黒田浩史社長は、祖父が東京・蒲田でゲージ製造を始めた創業の原点を振り返りつつ、「次の100年も社会に必要とされる企業であり続けたい」と語った。
祝賀会は台風15号の接近による荒天の中で開催されたが、会場は華やかな雰囲気に包まれた。黒田浩史社長は「雨降って地固まるという言葉もある。今日の雨を契機に、次の100年に向けた足固めができるとポジティブに捉えたい」と挨拶。創業者・黒田三郎氏が100年前にゲージ専業メーカーとして立ち上げた経緯を紹介し、「戦争や空襲、バブル崩壊、IT不況など幾度もの試練を乗り越えてきた」と述べた。
同社はゲージ製造から始まり、戦後の大量生産時代にはモーターコアやねじゲージで家電・自動車産業を支え、工作機械のNC化には電気・油圧パルスモーターの加工で波に乗った。半導体や液晶製造装置の精密部品にも進出し、時代ごとに製品群を刷新してきた。
事業ポートフォリオを常に組み替え、「適度な成長を続けてきた」同社の歴史について、黒田社長は創業者の言葉「ゲージ屋とデキモノは大きくなると潰れる」を引用。「過度な規模拡大を追い求めず、精密技術を追求するという自覚からぶれることなく身の丈に合った成長を心掛け、150年、200年と企業を続けていく」とコメントした。
来賓として経済産業省 製造産業局 産業機械課長の須賀千鶴氏が登壇。「日本初の専業ゲージメーカーとして創業し、産業競争力を支えてきた功績は大きい」と高く評価。さらに「工作機械や産業用ロボット分野は国の基盤産業であり、重点支援を続ける。輸出環境の変化にも政府として丁寧に対応していく」と、産業界への後押しを約束した。
続いてファナックの稲葉善治特別顧問が祝辞を述べ、東京帝国大学(現・東京大学)時代から交友関係のあったファナック創業者の稲葉清右衛門氏と黒田精工先代社長の黒田彰一氏のエピソードを紹介。NC装置開発に不可欠だった電気・油圧パルスモーターの超精密加工を黒田精工が引き受け成功させた経緯を披露し、「匠の技で加工不可能と言われた部品を実現し、日本のNC工作機械が世界市場へ進出する礎となった」と顕彰。「次の200年の発展も大いに期待する」とエールを送った。
次の100年への発展を祈念して鏡開きが行われた後、ミツトヨの沼田恵明社長の発声で乾杯。和太鼓グループ・大江戸助六太鼓による演奏で祝宴を華やかにした。
閉会挨拶に立った黒田精工 専務取締役 金型事業部長の石井克則氏は、「創業以来、多くの苦難を乗り越えられたのは、お客様や関係者の支援があったからこそ」と感謝を述べ、「思いの詰まった襷を次の100年へとしっかりと繋いでいく」と力を込めた。
(日本物流新聞2025年9月25日号掲載)