斜陽産業? いえ工夫で乗り切ります!
- 投稿日時
- 2026/03/06 16:25
- 更新日時
- 2026/03/06 16:27
「アトツギ甲子園」コラボセミナー
価格がどんどん安くなる軍手、需要が減少の一途をたどる和紙やカミソリ……。そんな製品をつくるメーカーの若手社長や次期社長はどんな戦略で起死回生を狙うのか。主に葛飾区の町工場が出展する「第12回町工場見本市」で興味深いセミナーが開かれた。
そのセミナーは「アトツギ甲子園出場者が全国から大集合」。アトツギ甲子園とは中小企業の若手後継者が経営資源を生かした新規事業アイデアを競うピッチコンテストで、中小企業庁が2020年度から主催している。このアトツギ甲子園と同見本市がコラボしたのが本セミナーで、各社4分間の発表と6分間の質疑応答で構成された。
登壇した、創業65年の軍手メーカーであるイナバ(福岡県久留米市)の稲葉雄大氏は一般的な軍手の価格20円を2万円へと1000倍の価値をもたせようとしている。「ブランド化し、素材や形状を工夫したい。海外は縫製が主だが、当社のシームレスなニット生地で違いを打ち出せる」と言う。
和紙を製造するセキネシール工業(埼玉県比企郡)の特殊紙は耐熱温度1000℃で液漏れを防ぐ紙は自動車エンジンなどに採用されてきた。関根俊直社長は「近年のEVのトーンダウンと中国製の低価格化で厳しい経営環境にあるが、難燃性を付加した製品を開発中。ロボットを導入し自動製造も進めている」と言う。
かみそりを製造するニッケンかみそり(岐阜県関市)はぶどうの病気を防ぐための巻き蔓を除去する電動工具を業界で初めてつくった。ぶどうの市場は99%が海外と勝機もある。が、熊田征純専務取締役は「海外の大規模農園は手間ひまかけず、別の病気を気にする。効果のエビデンスも要求される」と課題は多い。
ロボットSIerの高丸工業(兵庫県西宮市)の高丸泰幸専務取締役はパソコンを使って遠隔で溶接ができる装置「WELDEMOTO」を開発した。「パラメータの調整は難しいこともあるが、操作方法を5分、10分教えると多くの人は使える。装置をポータブルにできればビルの建築現場などでも使える」と先を見据える。
製紙機械を製造する斉藤鉄工所(富山市)の斉藤雄大社長はペーパーレスが進んでも紙を必要とする場はあり、製紙機械はなくならないと言う。「事後保全されているお客様が多いが、機械が止まると売上の損失が大きい」とし、サブスク型の月1、2回の定期訪問を提案した。
(日本物流新聞2026年3月10日号掲載)