サーボによる幾何誤差同定など
(公財)マザック財団はこのほど、2023事業年度の研究助成・優秀論文表彰・国際会議助成の対象を発表。5月22日に美濃加茂製作所で表彰式を開いた。
大学や各種研究機関を対象にした研究助成では、切削や研削、工具、ロボットなどの分野で50件の申請が寄せられた。うち名古屋大学の李?Q耆助教による「サーボ情報による工具--工作物間接触検知を利用した工作機械の幾何誤差同定方法の提案」など23件に1350万円が助成された。同研究は通常はタッチセンサー等で行われる幾何誤差を計測し工作機械に認識させる「同定」というプロセスを、工具がワークに接触する際のサーボ情報をもとに幾何誤差を同定して代替するもの。技術が確立すれば幾何誤差の同定が通常の機械加工の工程内で完了し工数を削減できる。
論文では17件に210万円が助成された。優秀論文特別賞は名古屋大学早坂健宏准教授の「超多刃エンドミルと高速高出力工作機械を用いた新しいびびりレスミリング戦略の提案」。本来は主軸の回転数を非常に高めた際にのみ生じる「無限安定領域」と呼ばれるビビりが発生しづらい現象を、20枚刃の超多刃エンドミルを使うことで一般的な工作機械に搭載される高速・高出力主軸でも利用する研究だ。
表彰式ではヤマザキマザックの山崎智久会長が挨拶。「日本のモノづくりを支える若い人が年々減少し、国としてモノづくりの重要性を改めて考えなければならない時期だと感じる。今後の日本の製造業が発展するには技術開発や生産現場に携わる人材育成が大切。工作機械博物館も2019年に開設した。財団や工作機械博物館の活動を通じモノづくりに興味を持ち、一人でも多くの若い人々に製造業に入ってほしい」と語った。
なお、国際会議助成では2件に80万円が助成された。
(2024年6月25日号掲載)