組立拠点統合と生産能力増強
松浦機械製作所は武生工場(福井県越前市)を拡張し、創業90周年となる2025年1月、本社工場の機能などを統合した組立拠点の稼働を開始する。12月8日に記者発表と起工式を行った。
現在、同社は福井市にある本社工場と武生工場の二拠点で機械組立とスピンドル組立を行っている。
「本社工場では大型機、武生工場では小型、中型機など売上のボリュームゾーンを占める製品を生産する。生産比率は本社工場3割、武生工場7割となっている。統合は当社にとっての宿願である」(高橋英郎取締役)という。
今工事が完了すると、本社工場の組立部門は武生工場の新工場棟へ移管し、組立拠点を統合する。拡大したスペースを活用し、マシニングセンタの従来比20%の増産を目指す。またリードタイム短縮も実施する。
本社・武生両工場のスピンドル組立も同所に建設する武生新スピンドル棟に集約。「スピンドル組立・試運転・ヘッド組立など、製造工程フロー効率化を追求したレイアウトにする事で組立効率向上による生産数増加と柔軟な供給体制の構築」(同社)をするという。
新工場には、工作機械の多機能化に対応して、広い作業スペースを確保するなどの工夫が随所にみられる。また、本社工場では、物流資材関連の強化に加え今後は加工部門の強化に充てる。
■技能継承に利点
「マシニングセンタの生産は、各所各所に匠の技が存在する。ゆえに技能伝承が重要になる。機能統合により技能継承などの面でも優位になる」(高橋取締役)とする。
松浦勝俊社長は「単純に拡張して増産を狙うのではなく、よりロングレンジで次の世代にどうつないでいくか、を考えた一連の投資となる。我々は大量生産ではなくユーザーの仕様に合わせた一品一様の生産をしているが基幹システムは、同じ仕様を複数台つくるロット生産に向いたやや古いものである。今後、工場拡張に合わせ基幹システムも、ユーザーの仕様に合わせる生産に適したものに変えていく」とした。拡張工事の総工事費は28億円、基幹システムの導入などを含めた投資額は向こう5年間で約40億円という。
また武生工場で使用される電力に再生可能エネルギーを活用した電気「かがやき GREEN」(北陸電力提供)を24年12月から導入し、CO2排出量の実質100%削減を実現する。
(写真=起工式であいさつする松浦勝俊社長)
(2023年12月25日号掲載)