1. トップページ
  2. ニュース
  3. 愛知は国際イノベーション都市へ

愛知は国際イノベーション都市へ

投稿日時
2024/05/24 18:00
更新日時
2024/08/19 13:22
(写真上=名古屋市昭和区、名古屋を代表する総合公園の鶴舞公園南側にSTATION Aiが誕生する)
(写真下=STATION Aiの内部は自然な交流を促進する広く見通しの良いコワーキングスペースが設けられる)

日本最大のインキュベーション施設、10月始動

日本最大のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」が、1031日に名古屋市内にオープンする。地上7階建て、延床面積約23600平方?bの同施設には日本全国、さらには海外も含めたスタートアップが地域の垣根を超えて入居。オープンイノベーションに積極的な事業会社も集い、それらが有機的に絡み合うことでグローバル規模のイノベーション創出を目指す。日本中から注目を集める同施設の開業を前に、愛知県経済産業局革新事業創造部スタートアップ推進課の藤井智也課長補佐と古井健介課長補佐に話を聞いた。


世界有数の産業集積地・愛知県に新たな「顔」が生まれる。名古屋市昭和区で10月に開業を迎える「STATION Ai」だ。地上7階建て、国内最大のインキュベーション拠点となる同施設には、愛知県下に限らず日本全国、ひいては海外からも有望なスタートアップが居を構える。ユニークなのはこうした施設では珍しく一般の事業会社も入居可能な点だ。事業会社とスタートアップの協奏でオープンイノベーションを加速し、世界へ羽ばたく若き企業や新たな産業を創出していく??難しい説明を抜きにしたとしても、何やらここから新しいものが生まれてきそうだという明るい気持ちになってこないだろうか。

すでに強固な産業基盤が確立された愛知県だが、一方で自動車の電動化やクルマを所有しないMaaSMobility as a Service)の浸透など変革の波にもさらされる。愛知県がスタートアップ振興に力を入れるのもこうした理由からで、強みを活かした「モノづくり融合型」のスタートアップ・エコシステムをグローバル規模で形成し、変革期を乗り切ろうとする。「愛知県の地域資源は自動車産業を筆頭とする産業クラスター。その資源を活用しつつ、スタートアップの力で既存市場ではないブルーオーシャンの開拓を目指します」(愛知県経済産業局革新事業創造部スタートアップ推進課戦略推進グループ 藤井智也課長補佐)

県だけでなく周辺の自治体や大学、海外のスタートアップ支援機関などと連携し一丸でスタートアップ支援策を打ち出すが、様々な施策の中核を成すのはやはりSTATION Aiだ。2020年には先立って「PRE-STATION Ai」として支援拠点を開設し、ソフト面の様々な支援策はすでに開始済み。愛知県経済産業局革新事業創造部スタートアップ推進課創出・成長支援グループ 古井健介課長補佐も「PRE-STATION Ai開業時の入居企業は9社でしたが、いまや411社を数えるほど。間違いなく盛り上がっていると思います」と手応えを語る。

STATION Aiは県民も利用できるカフェなどの一般ゾーンと会員専用ゾーンに分かれる。会員ゾーンには壁を取り払い、全体を広く見通せ利用者間の出会いを創出する広大なコワーキングスペースを設置。ビル自体が様々なデータの収集・活用機能も備え、実証実験を行う「サンドボックス」としての役割も果たす。イベントスペースでは様々な催しが開かれ全方位で交流が促進される。「起業仲間が集うことで新たなコミュニティが生まれ新しいものが生まれていく。スタートアップに限らず事業会社も入居するので彼らと連携したイノベーションにも期待しています」(古井氏)。入居者の共通点は「新しいことをしよう」という意思。国も規模も違う多彩な顔触れが集い、互いに刺激を与えあい必要な支援も受けながら新たな産業の創出を目指す。

■次世代の産業を愛知から

スタートアップには成長に応じたシード・アーリー・ミドル・レイターの4段階がある。PRE-STATION Aiではシード期やアーリー期を中心に支援してきたが、STATION Aiの開設を機にオールステージのスタートアップへと支援対象が拡大する。「日本だけでなく世界に羽ばたくスタートアップを創出したいという思いがある」と藤井氏は語る。ユニコーン企業の少なさが指摘される日本だが、同施設から生まれる日も近いかもしれない。

STATION Aiの期待感は。そうたずねると藤井氏は次のように語ってくれた。「新型コロナウイルス感染症の影響による計画の見直しもありましたが、ようやくSTATION Aiが完成する。自動車のEV化など産業構造が急激に変化するという危機感の中で、STATION Aiがこの大変革に対応する起爆剤になるという期待感があります」

古井氏も続ける。「この地域は大企業がたくさん集積する恵まれた地域。人材も豊富です。そこにスタートアップが掛け合わさり、オープンイノベーションのような形でこの地域の企業がさらに盛り上がっていけば。自動車なのかそれ以外なのかはまだ見えませんが、この地域からまた次の時代を担う産業が出てくる。そんな流れに期待したいと思います」

aichi.jpg

(【写真左=愛知県経済産業局革新事業創造部スタートアップ推進課創出・成長支援グループ 古井健介課長補佐】、【写真右=】愛知県経済産業局革新事業創造部スタートアップ推進課戦略推進グループ 藤井智也課長補佐)

■関連記事LINK
スタートアップが集い育つ街、なごやへ


2024525日号掲載)